医療法人 慈眼会 小島眼科医院

Helloご近所ドクター

焦点眼内レンズの導入、分院では斜視・弱視の治療をスタート

近・中・遠が見える多焦点眼内レンズを導入

 客観的データに基づいた信頼性の高い医療の提供を信念とする小島先生。白内障手術で用いる眼内レンズの一種、中・遠距離の2焦点が見えやすくなる多焦点レンズを採用したのも、2021年からと慎重を期していた。「多焦点レンズにはhaloやglareといった副作用があります。しかし実際に運用を始めてみて、今まで患者さんから副作用によるお困りの声はいただいていません。白内障で視力が落ちていた方にとっては、見えるようになるメリットの方が大きく感じるようです」。小島先生は多焦点レンズの有用性が大きいことを実感し、新たに近・中・遠の3焦点眼内レンズを2023年4月から採用することを決めた。「2焦点のレンズでは近距離が見えにくいため、中にはメガネを使う方もおられましたが、3焦点レンズならその煩わしさがなくなる可能性があります。またh a l o・glare現象を比較的低減できるというメリットもあり、これなら今まで以上に患者さんに寄与できると判断しました」。3焦点眼内レンズは保険適用外になるが、保険外併用療養制度内の選定療養が適用され、経済的負担を軽減できることも、採用に踏み切った理由の一つだそう。従来の単焦点レンズ、2焦点の多焦点レンズも含め、選択肢が広がったという意味でもメリットは大きくなるだろう。

読書する距離から車を運転するために視認したい距離まで、幅広く焦点を合わせられる3焦点レンズ
両眼の位置関係から斜視の程度を測定したり、両眼視の機能訓練に使用する大型弱視鏡を分院

就学前の早い段階から弱視・斜視の治療を

 3焦点の多焦点レンズの採用に加えて、分院を預かる沼田先生がご自身の専門性をいかした取組みも始まるそう。「私は以前から大学病院でお子さんを対象とした斜視・弱視の専門外来で診療しています。斜視・弱視の視機能回復を目的とした矯正訓練指導には視能訓練士が欠かせませんが、残念ながら今まで当院には常勤の職員が在籍しておらず、十分な診療ができているとはいえませんでした。しかしようやく今年の4月から常勤の視能訓練士を迎え、斜視・弱視の診療体制を整えることができました」。斜視は片目が上下左右いずれかの一方向に向かい、両目で物を見れない状態。人は両目で見た像を脳内で統合して立体的に捉えているため、斜視のままだと両眼視機能が発達しなくなる点が問題だ。一方、弱視は強い遠視や乱視でピントが合わない、黒目が濁っている、斜視のため視線がずれていて機能していないなどといったことが原因で視力の発達が遅れている疾患。これらの治療で重要なのは、脳の視覚中枢と視機能の発達を促すことだ。「脳の神経回路とともに視力が発達する感受性期は、それも臨床的には6歳から7歳ぐらいまでといわれています。その時期を過ぎると視機能の発達は期待できないため、特に弱視に関しては治療できる時期が限られているといえるでしょう。」

斜視・弱視は訓練で治療加齢黄斑変性の治療も

 現在は3歳半健診や小学校入学前の健診で弱視の子どもをピックアップできる制度があるが、治療のスタートが早いに越したことはない。では具体的にどんな治療になるのか。「治療は視機能の訓練です。特殊な矯正用メガネを普段から使い、鮮明な像を網膜に映すようにしたり、視力の良い方をアイパッチで覆い、悪い方の目で見る訓練を重ねることで、視機能の発達を促します。期間は1年ないし1年半ぐらいですが、感受性期はせっかく機能が上がっても、その後落ちてしまう可能性があるので、フォローアップすることも大切です」。斜視に関しては手術という選択肢もあるが、その場合は手術可能な病院で行い、その後の経過を沼田先生に管理してもらうこととなる。斜視・弱視は専門とする眼科医が少ないため、沼田先生にセカンドオピニオンとして診ていただくのもいいだろう。
 分院の新たな取組みに、加齢黄斑変性の治療も加わる。今年中に分院でも行える体制を整え、注射はクリーンな手術室で行うそう。沼田先生も大学病院では多くの症例に携わった経験があるとのことで、今まで以上に地域の期待に応えられそうだ。

halo・glare現象とは、光源を見た際にぼんやりと光が広がって見えたり、通常よりもギラギラと強く輝いて見える現象。
人によって感じ方の強弱はあるが、3焦点眼内レンズではそのリスクが低減されている。 
模様の中に隠された図柄が見えるか否かで、弱視の基本的な視力検査や斜視も含めた両眼視を検査する器具

教えて先生!

眼内レンズにも種類がありますが、多焦点レンズが一番良いものなんですか?

3焦点レンズと2焦点レンズは遠くも近くも見えますが、薄く膜がかかったような映像になります。
対して単焦点レンズは近・中・遠のいずれかしか見えませんが、クリアさが失われることはありません。
これらメリット・デメリットと仕事やライフスタイルをすり合わせて選択することが重要です。

院長からのMessage

最新鋭の検査・治療機器を揃え、客観的データに基づいた質の高い医療を提供します

経験則やひらめきではなく、客観的なデータに基づいた的確な治療を提供するよう努めており、そのための最新鋭の検査・治療機器を導入しています。また新しい治療法に対しては効果と安全性のエビデンスを注視し、患者さんにとって利益になるかどうかを慎重に見極めてから導入するか否かを判断します。

医療法人慈眼会 小島眼科医院

電話番号:072‐991‐4107

住所:八尾市山本高安町2‐13‐3 高安クリニックビル4F

ウェブサイト:https://kojima-eyeclinic.com/

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