【対談】関西医科大学付属病院 眼科 今井 尚徳主任教授× 乳腺外科 髙田 正泰主任教授× 下部消化管外科 渡邉 純主任教授

関西医科大学附属病院では、患者さんがQOLを維持できるよう低侵襲機能温存治療に取組んでいる。昨年教授に就任した3名の先生が取組む最新鋭の治療について、松田病院長と対談していただいた。

松田
渡邉先生が着任されてから、大腸がんの内視鏡外科手術、特にロボット支援手術の件数が急激に増加しています。その手術について詳細をお教えください。
渡邉
大腸がんは日本人にとって罹患率が高く、直腸にがんが発生した場合、人工肛門になってしまうケースがあり、患者さんが不安に感じることの多いがんです。しかし、腹腔鏡手術やロボット手術を導入することで、狭い骨盤内で腫瘍を取除き、かつ自律神経を傷つけず、排泄機能を残す治療が可能となってきました。当科では可能な限り多くのケースで肛門温存に取組みたいと考えていますので、不安を感じている方はぜひご相談いただければと思います。

松田
髙田先生が取組まれている、乳がんの温存治療についてお教えください。
髙田
当科では術前化学療法を積極的に導入しており、手術前にがんを縮小させて、乳房を温存可能な状態にする治療を多数行っています。温存治療をしたとしても変形が発生することがありますが、その場合には形成外科的に修復することを心がけています。また2024年度から、腫瘍の大きさが1.5センチ以下の方に対して、ラジオ波焼灼術を導入しました。この治療は腫瘍を摘出せず、体外から針を刺して電流で焼くといった手法を行うため、乳房にメスを入れることがありません。早期にがんの発見ができた場合、有力な選択肢になると思います。

松田
眼科では、全ての治療が機能の温存や回復を目指すことになると思いますが、特に先生が得意とされる治療は何でしょうか。
今井
私が専門としているのは網膜硝子体疾患で、網膜剥離や網膜前膜の手術を得意としています。かつて網膜硝子体の手術をするためには、眼球に1ミリ以上の傷を何カ所も開けて手術する必要がありましたが、現在では0.4ミリの傷から手術が可能となっています。この大きさの傷であれば縫合がいらず、早期に社会復帰することも可能です。手術には繊細な手技が必要となりますが、当科では3D対応のモニターと偏光メガネを用いる手術を導入し、より安全に手術ができる環境が整っています。

松田
最後に患者さんに向けて、メッセージをお願いします。
渡邉
大腸がんと診断された方は不安を感じると思いますが、最大限の機能温存治療を提供しますので、お気軽にご相談ください。
渡邉
眼科の手術はどんどん発展しており、低侵襲手術も一般的になってきました。当科では術後により良い視機能を得られるよう最適な手術を検討しますので、ぜひご相談ください。

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