医療法人 光誠会 しろばとクリニック
栗岡 宏彰先生
【プロフィール】O型/かに座/金沢医科大学卒/大阪府出身/日本内科学会総合内科専門医、日本救急医学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本緩和ケア学会会員
【趣 味】自宅で映画やドラマを鑑賞することです。Netflixで配信されている大相撲を題材とした「サンクチュアリ」というドラマは、すでに2回見ました
【休日の過ごし方】ホームセンターに行くことが多いです。いろんな商品を眺めながら、DIYのアイデアを考えたりするのが楽しいです
住み慣れた場所で最期を迎えるための在宅医療
自宅・病院・介護施設最期の場所をどう選ぶか
八尾市にあるしろばとクリニックでは「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という患者の希望を叶えるため、10年以上にわたり緩和ケアと看取りを中心とした在宅医療の実践に取組み続けてきた。実際に在宅看取りの件数は、年間約100件と全国でもトップクラスの水準。患者はがん老衰、臓器不全などの終末期で医療依存度が高い高齢者が多く、自宅でも心電図やレントゲン、胃ろう交換、胸水や腹水の穿刺、簡単な外科的処置など、24時間365日体制で医療的ケアを行っている。在宅医療の第一線で活躍する栗岡先生は「看取りの場所」について「近年、最期の場所として自宅や病院のほかに、介護施設を選択するケースが増えてきています。看取りケアに対応する介護施設の場合、入居者の容態が急変したときにも救急車を呼ぶことなく、医師や看護師が連携しながらケアを行うことができますが、看取りの体制が整っていない介護施設があるのも事実。入居者の急変に対応できず、病院へ救急搬送されるケースが多いのも現状です」と話す。最期を迎える場所の選択肢が広がるなか、自分や家族が最期まで安心して過ごせるよう、適切な医療的ケアを受けられる施設かどうかを入居前に確認することが重要になってくる。
安心の医療・介護体制で自分らしい暮らしを継続
同クリニックでは2015年に、充実した医療的ケアを受けられる介護施設として「しろばと緩和ケアホーム」を立ち上げた。医師や看護師による24時間365日体制の「医療」と、介護士による手厚い「介護」を提供しており、在宅療養の延長線上にある施設として多くの人に利用されている。「緩和ケアという名前はついていますが、末期がんの患者さんだけでなく難病(ALS・パーキンソン病など)の方、認知症の方の受け入れも行っています」と栗岡先生。人工呼吸器や夜間痰吸引、持続点滴など、24時間医療行為が必要な人も入居することができ、医療依存度が高い患者が安心して過ごせる介護施設である一方、病院ではないので起床や就寝時間に決まりはなく、食事や飲酒、面会、外出も自由に行うことができる。家具や私物を持ち込んだり、ペットを連れてきて一緒に暮らす入居者もいるという。在宅療養中に容態が悪くなった際の一時的な入所も可能で、ギリギリまで施設で過ごし最期は自宅で迎えたいという患者の要望にも応えている。人生の最終段階における自分らしい生き方を尊重し、入居者の医療・介護・生活を一体でサポートする同施設。介護施設の在り方を示すモデルケースとして、その名を広めている。
在宅医療を支えるため重要になる多職種連携
最後に、団塊世代が75歳以上になる2025年問題が迫るなか、これからの在宅医療に必要なことを栗岡先生にうかがった。「2040年の日本は、約41万人が“死に場所難民”になる試算もあるといわれています。超高齢社会の日本における在宅医療で今後重要になるのは、地域での多職種連携です。ご高齢者が自宅や施設で安心して生活を送るためには、医師や看護師はもちろん、ケアマネジャー、介護士、薬剤師などが、それぞれの専門性を活かした情報共有で、同じ目標に向かって進んでいく必要があると考えています」。栗岡先生は横のつながりを強化するため、多職種間の垣根のないコミュニケーションを実現する「やお多職種連携の会」を立ち上げた。ホームページには在宅医療について学ぶこと
住み慣れた場所で最期を迎えるための在宅医療
ができる勉強会や、八尾市のドクターや事業所が参加する交流会、名刺交換会などの情報が掲載されている。「顔の見える関係づくりを進めるために、勉強会や交流会へお気軽にご参加いただけると嬉しいです」。このように八尾市における在宅医療の質をさらに高めるため、医療・介護従事者への呼びかけも積極的に行っている。
教えて先生!
介護施設の利用を考えています。確認すべきポイントはありますか?
施設によって、医療充実度が異なる場合がございます。そのため施設選びの際は、医師の勤務体制や提携の医療機関、看取り対応の有無などを調べて、必要な医療的ケアが受けられる施設かをチェックする必要があります。お悩みの場合は当クリニックが運営する「在宅医療介護情報センター」をご利用ください
ココもチェック
多くの人が自宅で幸せな「最期」を迎えられるように在宅医療の現状を発信
10年以上にわたり、在宅医療に尽力する栗岡先生の著書。「自宅で幸せな最期を迎えるため」に知っておきたい在宅医療の在り方や、看取りの現状とあるべき姿まで、実例を交えて書かれている。超高齢社会の日本で暮らす自分たちや家族の「最期」について考えさせられる一冊