八尾市立病院

小児救急や新生児医療 専門外来にも注力
子供たちを守る中核病院

子供たちが地域で健やかに成長するために、小児医療の現場ではどのような診療が必要とされているのか。最前線で子供たちを支える八尾市立病院の濱田先生に、その取組みについてうかがった。

第一線で小児医療を提供

 令和5年の小児(新生児を除く)の救急患者数は約48万人。子供の発熱やけいれん、アレルギー反応など、急な体調不良に親は戸惑い、適切な治療を受けられる病院での対応が求められる。そんななか、八尾市立病院は八尾市周辺地域の中核病院として一般小児医療をはじめ、小児救急医療、新生児医療を3つの柱に診療を行っている。「小児救急においては平日の午前9時から17時まで小児の救急患者に対応しているほか、火曜と土曜は中河内地区の小児救急輪番担当病院として夜間救急の受け入れを行っています。小児救急の現場では、経験豊富な医師と診療の最前線で鍛えられた若手医師が協力し、地域の子供たちの命を守るため、“断らない”救急医療を目指し日々奮闘しております」。また同院はリスクのある妊婦・新生児の診療を行う「地域周産期母子医療センター」に認定されており、NMCS(新生児診療相互援助システム)の協力施設として院内出生児だけでなく、他施設の早産児の受け入れにも対応。NICU(新生児集中治療室)は24時間365日体制で当直を行い、院外の医師の協力も得ることで安心のサポート体制を維持している。「当院の特徴として、小児科と新生児科が一体となった診療体制があげられます。それぞれの科が一つのチームとして診療にあたるため情報共有がスムーズで、新生児期から乳幼児期、学童期までの成長・発達を総合的にサポートすることが可能です」。ほかにもアレルギーや内分泌、神経、腎臓、膠原病、血液、夜尿症など、各医師の専門性を生かした診療にも注力。救急から新生児医療、専門外来まで、地域の子供たちを全力で支える体制が整えられている。

1.入院中の子供たちが楽しく過ごせるよう保育士を配置したプレイルームを用意
2. 6階の小児科病棟は季節に合わせた可愛らしい装飾が施されている
3.アレルギー、膠原病、腎臓疾患を専門とする濱田先生

アレルギー診療

 小児科領域のアレルギー専門医・指導医として、アレルギー診療を専門にする濱田先生。「近年地域のクリニックにおけるアレルギー疾患の診療体制の整備が進んでおりますが、当院で行っているような専門的な診療が求められるケースも少なくありません。例えば食物アレルギーは通常の血液検査では適切な診断が難しく、負荷試験を行う必要があるのですが、数時間後に発症する可能性がある消化管アレルギーについては、診療時間などの制限によりクリニックでの対応が難しい場合もあります」。また近年増加しているというのが、クルミやカシューナッツといったナッツ類のアレルギーだ。これらのアレルギーは微量でも発症する可能性があり、適切な負荷試験を行うためには高度な設備と専門知識が求められる。「思春期を迎えたクルミアレルギーを抱える子供のうち、約40%がその後数年の間に誤食するというデータがあり、ナッツ類のアレルギー症状で救急搬送されるケースも増えています」。クリニックとも連携しながら、高度な診療を必要とする患者の受け入れに尽力している。

小児科の先生はNICUでの新生児医療にも従事。小児科専門医研修支援施設として専門医を志す若手医師の育成にも力を入れている

小児医療を取巻く課題

 小児科診療の現状を踏まえ、今後の展望についてうかがった。「日本全体で思春期の子供における発達障害や起立性調節障害が増加し問題視されています。当院では非常勤の専門医を招き診療を行っておりますが、発達障害や重症心身障害児医療を専門とする箕輪副院長のご指導の下、スタッフの育成にも注力してまいります」。また共働き世帯の増加に伴い、親の付き添いが難しく入院での治療を選択できないケースも増えているという。同院では院内保育士や院内学級の先生の協力も得ながら、家族が安心して治療を受けられる仕組みを構築していく構えだ。

八尾市立病院

電話番号:072-922-0881(代表)

住所:八尾市龍華町1-3-1

ウェブサイト:https://www.hospital.yao.osaka.jp/