栗岡 宏彰 院長
【プロフィール】
O型/蟹座/金沢医科大学卒/奈良県出身/日本内科学会総合内科専門医、日本救急医学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本緩和ケア学会会員
【趣 味】
自宅で映画やドラマを鑑賞することです。Netflixで配信されている「地面師たち」など、話題のドラマをよく見ています
【休日の過ごし方】
ホームセンターに行くことが多いです。いろんな商品を眺めながら、DIYのアイデアを考えたりするのが楽しいです
多職種連携による在宅医療の形を地域に発信する
医療と介護が密に連携した在宅看取りを確立
緩和ケアと看取りを中心に、在宅医療の第一線で17年以上活躍されてきた栗岡先生。八尾市にあるしろばとクリニックでは、「住み慣れた自宅で最後を迎えたい」という患者の希望を叶えるため、年間およそ100件ほどの在宅看取りに対応。患者はがん老衰、臓器不全などの終末期で医療依存度が高い高齢者が多く、自宅でも心電図やレントゲン、胃ろう交換、胸水や腹水の穿刺、簡単な外科的処置など、24時間365日体制で医療的ケアを行っている。「団塊世代が75歳以上になる2025年問題を抱える日本では、国が在宅での看取りの推進に力を入れています。しかし、本当の意味で在宅医療に対応していくには、多くの困難が伴います」。栗岡先生が目指す在宅医療は患者のよりよい療養環境づくりを自宅で実現するための物。その最高の看取りがそこで行えるぐらいのレベルの状態を医療、看護、介護の連携によって実現することです。適切な医療を在宅で行い、家族と話し合って自宅で最後を迎えられるようサポートする在宅医療。安全面を考慮しながら自宅で医療ケアを施し、可能な限りゆるやかに最後を迎えられる。在宅看取りの知識と経験が豊富な栗岡先生は、長年にわたって在宅医療の可能性にチャレンジ。独自で確立された在宅医療の在り方などを著書や勉強会などで発信されている。



医療と介護両方を提供する介護施設のモデルケース
看取りの場所として、自宅や病院のほかに、介護施設を選択するケースが増えている。しかし、介護施設での看取りの連携というのは、医師と訪問看護との連携がとても密接でなければならないにもかかわらず、ほかの事業所である訪問看護ステーションとの密接な連携はなかなか難しい。「看取りケアに対応する介護施設の場合は、入居者の急変時にも医師や看護師と連携して施設内でケアすることが可能です。しかし、体制が整っていない施設では、急変時すぐに病院へ救急搬送されるケースが多いのも現状です」。そのような状況をふまえ、同クリニックでは2015年に充実した医療的ケアを受けられる介護施設として「しろばと緩和ケアホーム」を立ち上げた。この施設では、医師や看護師による24時間365日体制の「医療」と、介護士による手厚い「介護」を提供しており、在宅医療の延長線上にある施設として多くの人に利用されているほか、介護施設の在り方を示すモデルケースとして多方面からの見学も多い。「当施設は緩和ケアという名前ですが、末期がんの患者さんはもちろん、難病(ALS・パーキンソン病など)の方や認知症の受け入れも行っています」と栗岡先生。人工呼吸器や喀痰吸引、持続点滴など、24時間医療行為が必要な人でも入居でき、医療機関とは異なることから起床や就寝時間、食事や飲酒、面会、外出などの自由度が高いのが特徴だ。
多職種連携を深めることで地域全体の在宅医療を向上
理想とする在宅医療を追い求める栗岡先生は、自身だけではなく八尾市全体の在宅医療の底上げにも尽力してきた。地域の横のつながりを強化するために多職種間の垣根のないコミュニケーションを実現する「やお多職種連携の会」を設立。ホームページには、在宅医療について学ぶことができる勉強会や、八尾市のドクターや事業所が参加する交流会、名刺交換会などの情報が掲載されている。「顔の見える関係づくりを構築するために、勉強会や交流会などを精力的に行ってきました。医師は介護の、介護士は医療的な知識を深めることで提供する在宅医療が驚くほど円滑になります」と栗岡先生。それらの取組みもあって、八尾市の在宅医療は高い水準を維持している。「2040年の日本は、約41万人が〝死に場所難民〟になると言われています。超高齢社会の日本における在宅医療では、地域での多職種連携が益々重要となってきます。医師や看護師はもちろん、ケアマネジャー、介護士、薬剤師などが、それぞれの専門性を活かした情報共有によって、高齢者が自宅や施設で安心して生活を送れる環境を作っていきたい」。栗岡先生をはじめとする在宅医療に取組む多職種連携によって、今後も八尾市の医療・介護が向上していくことだろう。
教えて先生!
介護施設の利用を検討していますが、重視した方が良いポイントはありますか?
施設によって、どの程度の医療を提供できるのかが異なります。そのため施設選びの際には、医師の勤務体制や提携の医療機関、看取り対応の有無などを確認して、必要な医療的ケアが受けられるかどうかをチェックする必要があります。判断に迷った場合は、当クリニックが運営する「在宅医療介護情報センター」をお気軽に利用ください
スタッフからのMessage
超高齢社会の日本だから必読
自宅で幸せな最後を迎えられる在宅医療の現状と理想系を発信

在宅医療に貢献してきた栗岡先生の著書「自宅で最後を迎えたい」。この本の中には、自宅で幸せな最後を迎えるために重要な在宅医療の在り方や看取りの現状などが実例を交えて書かれている。超高齢社会の日本にあって、自身や家族の最後について考えさせられる一冊