つながりを大切に 地域医療連携を推進
整形外科診療も強化
2008年から喜馬病院で消化器外科医師として貢献を続けてきた熊野先生が、昨年10月新たに理事長へと就任した。就任にあたっての抱負と、近年力を入れている整形外科の診療について詳細をうかがった。
新理事長の理念
つながりを強固にしさらなる地域貢献を目指す
2023年に設立70周年を迎えた医療法人寿山会。昨年10月には熊野先生が喜馬病院の新理事長に就任し、新しい時代がスタートした。熊野先生に理事長就任の抱負をうかがった。「理事長に就任するにあたり、現喜馬会長のお父様がどのような思いで当院を設立したのかを改めて調べてみました。当院は1953年に診療所からスタートしたのですが、当時は近隣に診療所も入院できる病院も少なく、地域に少しでも貢献できるように病院を開設したという経緯があったようです。この地域貢献への思いを絶やさず、引き継いでいくことが何より大事だと私は考え、『つながりを大切に、頼りにされる法人をつくる』というスローガンを掲げ、全職員に伝えました。『患者さんとのつながり』、『地域の医療・介護施設とのつながり』、『法人内のつながり』、『グループ内職員同士のつながり』。この4つのつながりを大切にすることで、より一層地域貢献に邁進したいと考えています」。この言葉の通り、同院は積極的に地域医療連携を推進しており、医師が直接診療所に赴き挨拶を行っているという。「当院がどういった治療に対応しているのかを知っていただくことで、より紹介をしていただきやすくなるため、パンフレットを作成するなどしてプレゼンテーションするようにしています。顔を合わせてお話しすることで、書面やオンラインでは生まれづらい信頼関係が築けるので、これからも積極的に挨拶を行っていければと考えています。特にこれからは整形外科について広く周知をしたいと考えているため、鈴木先生や加茂先生にも挨拶をしていただいています」と、熊野先生は語った。



整形外科の診療強化
変形性膝関節症における新しい治療の選択肢
高齢化が進む日本において、整形外科の重要性は増している。整形外科部長を務める鈴木先生に、同院の整形外科の特徴についてお話しいただいた。「私は外傷を専門としていまして、ご年配の方の骨折や、スポーツ骨折外傷の患者さんを中心に診療しています。一方加茂先生は膝関節の治療を専門とし、膝の痛みに悩む患者さんを積極的に受け入れています。当院には急性期病棟だけでなく、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟があるため、手術が終わって即退院ではなく在宅復帰まで手厚く診療できるので、そこが強みだと感じています」。同院では特に変形性膝関節症について診療を強化しているとのことで、加茂先生に詳細をうかがった。「変形性膝関節症の治療といえば、人工関節を思い浮かべる方が多いかと思います。しかし近年『高位脛骨骨切り術』という手術が発展し、中程度の症状であれば、膝関節の温存を行いつつ機能回復を目指すことが可能になってきました。人工関節では動作制限がありますが、骨切り術では日常生活に制限はなくスポーツをすることも可能で、農業などの肉体労働への復帰にも期待ができます」。

関節鏡による低侵襲手術
膝のスポーツ外傷に幅広く対応
膝の治療はご年配の方だけでなく、スポーツをする若年層にも需要が高い。同院では関節鏡が導入されており、スポーツ膝外傷手術にも対応ができる。「関節鏡を用いれば、半月板損傷や膝前十字靭帯損傷といった外傷に対して小さな傷口で手術が可能であり、リハビリも早期に開始することができます。もちろん手術ばかりでなく、膝の詳細な診断や保存療法も行いますので、怖がらずにご相談いただければと思います」と、加茂先生。どの疾患であっても、侵襲の少ない治療を受けるためには早めの診断が大切なため、痛みを感じることがあればぜひ受診してほしい。