社医療法人 徳洲会 八尾徳洲会総合病院

心臓血管外科の強化で心臓疾患の緊急手術に対応 様々な低侵襲治療も可能に

2020年以降、八尾徳洲会総合病院は心臓疾患の診療機能を強化しており、心臓血管外科においても医師の増員がなされた。現在では緊急手術も積極的に行い、手術数を伸ばしている。部長の薦岡先生に現況をうかがった。

中核病院としての役割

大きく強化された心臓疾患の医療体制

1978年の開院以来『生命だけは平等だ』という徳洲会の理念に基づき、救急医療を中心に地域医療に貢献し続けてきた八尾徳洲会総合病院。心臓血管外科の分野においては、2020年に薦岡先生が赴任して以降設備や人員が拡充され、著しい発展を遂げている。薦岡先生に詳細をうかがった。「当院は八尾市における中核病院の一つとして、様々な分野で緊急手術を受け持ち、市民の命を守ることに力を注いでおります。しかし、心臓血管外科においては2020年まで長らく緊急手術が行えておらず、他院にお送りするという状況になっていました。そこで体制の強化が行われ、2020年4月に医師3名体制へと変更。大動脈などの緊急手術が行えるようになりました。さらに、2021年には循環器内科との連携で『心臓血管センター』が開設。外科治療と血管内治療が同時に行えるハイブリッド手術室も整備され、より幅広い心臓手術に対応できるようになりました。現在、心臓血管センターには循環器内科と心臓血管外科を合わせて8名の医師が在籍しており、24時間365日、常に心臓血管センターの医師が勤務している体制が築かれています」。心臓疾患の医療体制が整ったことで地域医療連携も強化され、昨年4月には近隣の病院や消防とのホットラインも開設された。「心臓血管センターに勤務している医師がスマホを持ち、心臓疾患に関するお問い合わせに直接対応する体制を整えました。いただいたお問い合わせの内、月30〜60件は緊急搬送につながっており、もっと周知を進められればと考えています」。心臓の病は急を要するものが多い。だからこそスムーズに治療が受けられる体制が整うことは、市民にとって朗報に違いない。

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薦岡先生、小島先生、春日先生は心臓血管外科専門医を取得しており、高度な手術を行える
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大動脈瘤に対するステントグラフト手術の様子
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現在増築中の新棟の完成予定図。3階建てで、本館と渡り廊下でつながる

心臓疾患の低侵襲治療

身体への負担が少ないステントグラフト手術

体制が強化された心臓血管外科だが、実際にどのような手術が可能なのだろうか。「当院では、患者さんの身体への負担が少ない低侵襲の心臓手術に取組んでおり、特に力を入れているのが大動脈瘤に対する『ステントグラフト手術』です。この手術は、金属のバネがついた人工血管(ステントグラフト)をカテーテルに通して血管内に留置し、動脈瘤を内から覆って瘤に血液が流れないようにするもので、開胸の必要がありません。カテーテルを通すために股の辺りに1センチ程度の傷を作るだけで済み、手術時間も1時間程度ですので、ご年配の方でも手術できるケースが多いです。もちろん、開胸する必要がある手術にも対応可能ですので、患者さんの病状によって最適な治療を選択しています」と、薦岡先生は語った。
心臓疾患の手術は日々進歩を続けているが、もし手術せずに済むならそれに勝ることはない。日常における心がけを先生はこう訴える。「ご年配の方は辛くても我慢をしてしまいがちなのですが、心臓疾患の場合は悪化すると大変です。胸が痛い、息切れするといった症状がある場合には、我慢せずに循環器内科などを受診いただければと思います」。

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従来の手術室と心臓カテーテル室の機能を併せ持つ、ハイブリッド手術室。心臓血管センターの開設とともに整備され、すでに多くの低侵襲手術の実績を残している

新館建設と本館改築

病院機能強化のため増改築を実施

同院は現在新館の増築と本館の改修が進められており、それに伴い救急初療室、手術室などの増設や、集中治療室や高度治療室の拡張、心筋梗塞や狭心症などの冠疾患を集中的に管理するCCUの新設などが計画されている。「工事は2026年頃には完了する予定で、この増改築によって心臓疾患の診療機能も大きく強化される予定です。最終的には他地域に依存することなく、八尾市を含む中河内地域で医療が完結できる体制を形成できればと思います」と、薦岡先生。八尾市民の方々が住み慣れた場所から離れることなく、安心して医療を享受できる未来に期待したい。

医療法人 徳洲会 八尾徳洲会総合病院

電話番号:072-993-8501

住所:八尾市若草町1-17

ウェブサイト:https://www.yao.tokushukai.or.jp

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