医療法人 光誠会 しろばとクリニック

後悔のない最期のため、在宅療養の環境整備と広報活動に努める
家族や自分自身の最期を考えたことはありますか?
10年以上八尾市の在宅医療を支えてきたしろばとクリニックは今、超高齢社会における在宅医療の在り方を示す一つのモデルとして注目を集めている。日本人の8割が病院で看取られているが、団塊世代が75歳以上になる2025年を目前に控え、病院には全員を看取るだけのベッド数も体制も整っていない。さらに2040年には約41万人が〝死に場所難民〞になる試算もあるという。「こうした背景から、終末期の療養は自宅へとシフトしつつあります」。そう話すのは、末期がん・難病・老衰などの患者に対して緩和ケアや看取りを中心とした在宅医療を提供する栗岡先生だ。「病院はあくまでも治療の場。病気が治らなくても患者様やご家族が望めば延命治療をするでしょう。しかし、治療のために体力を奪われて寝たきりのまま病院で亡くなるのが理想の最期でしょうか?治療から緩和ケアに切り替え、住み慣れた自宅で人生の総まとめのような時間を過ごして最期を迎えるのも選択肢だと思います。」人生の最期をどんな形で迎えるか、元気なうちに考えておくことが大切だと栗岡先生は説く。
できることがたくさんある在宅医療という選択肢
家族や自分自身の最期を選択できる時代。自宅で最期を迎えたいと希望する方が多いのにもかかわらず、実際に在宅での看取り率は高くないのが現状だ。栗岡先生は、その原因の一つに在宅医療についての正しい認識が広まっていないことを挙げる。「相談に来られた方に介護保険や在宅医療の制度を説明すると、『そんなことまでできるの?』『もっと早く知っておけば…』と驚かれることがあります。たとえ在宅での看取りを希望していても、無理だろうと決めつけている方が多いのです」。 同院では24時間365日体制の訪問診療で、自宅でもエコー・心電図・レントゲン・胃ろう交換・腹水や胸水穿刺・簡単な外科的処置などに対応。また、患者や家族が安心して在宅療養をするために、医療的なケアに加えてホームヘルパーやケアマネージャーなど介護分野との連携で生活全般の支援も欠かさない。人生の最期を充実させるためには十分なサポート体制を敷いているが、地域住民だけではなく、医療従事者にさえ知られていないことがある。そこで、栗岡先生は地域に向けた勉強会や講演会を開催したり、看取りの本を執筆。また、医療や介護関連の書籍を所蔵するほか専門スタッフに質問も可能な「しろばと在宅医療介護情報センター」の開設など、多角的な広報活動を通じて在宅医療の視野を広げている。さらに、医療従事者の横の連携を強化するため「やお多職種連携の会」を発足したり、八尾市で在宅医療に取組む開業医とのネットワークを構築するなど、在宅医療の質の向上にも余念がない。
最期まで患者に寄り添う2つの施設を設置
同院が在宅療養を支える患者は末期がんや難病など医療依存度の高い高齢者。病気や老衰が進行して在宅療養が困難になった方の受け皿として「しろばとメディカルケアホーム」と「しろばと緩和ケアホーム」を運営している。両施設とも24時間対応可能な医師や看護師による「医療」と生活全般のお世話をする介護士による「介護」を受けられる。「在宅療養の延長線上にある施設です。病院のように起床時間や就寝時間などの制限はなく生活は自由。ペットや私物の持ち込みも可能で、自宅に近い環境で過ごせます」と栗岡先生。施設に入れば入りっぱなしというわけではなく、在宅療養中に容態が悪くなった際の一時的な入所も可能で、ギリギリまで施設で過ごし最期は自宅で迎えたいという要望にも応じている。また、日本人の死因1位であるがんに対しては「がん相談外来」を設け、専門の相談員が情報提供や心理的な支援を通じてがんの治療や療養生活についての疑問や不安を解消できるように努めている。「最期まで治療を続ける生き方を否定しているわけではありません。ただ、治療を続けることだけが病気や老衰への向き合い方ではないと思います。緩和ケアのみで最期の時間を過ごすことも選択肢です」。栗岡先生は、不安から病院の主治医に任せっきりになって、いよいよという時に後悔することだけは避けてほしいと語気を強めた。正しい知識を身につけ、自分で選択した先に”充実した最期”がある。



1.スパイロメーターで肺機能を検査。より精密な診断をするため活用している
2.瓢箪山駅から徒歩10分。住宅街、幹線道路からもアクセスの良い立地で、地域医療に貢献
3.聴診により正確に音を聞き出し、些細な違和感までも察知する小林院長
PROFILE
栗岡 宏彰 先生
【プロフィール】O型/かに座/金沢医科大学卒/大阪府出身/日本内科学会総合内科専門医、日本救急医学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本緩和ケア学会会員
【趣 味】動物が好きなので、自宅ではウサギを、緩和ケアホームでは白い鳩を飼育しています。写真も好きで、ドローンを飛ばして施設の写真を上空から撮影するのも楽しいです
【休日の過ごし方】友達と飲みに行ったり、焼肉屋さんを巡ったり、ホームセンターで陳列されている商品を眺めて過ごすことが多かったです。早く、こういった休日が過ごせる日々が戻ってきてほしいですね
教えて先生!
自宅での介護を考えています。仕事と両立できるものでしょうか?
仕事と介護を両立している方はたくさんいらっしゃいますが、家族だけで行うのは難しいことも多いです。患者様やご家族が望む形で在宅介護をするためには介護制度を理解し、ヘルパー・看護師・医師などのサポートを受けることが大切です。当クリニックの情報センターでは相談員が常駐し、介護や看取りに関する相談をいつでも受け付けます。疑問や不明点があればお気軽にご来院ください
ここもチェック♪

在宅医療の基礎知識や人生最期の過ごし方を学べる栗岡先生の著書
10年以上、在宅医療の現場を見てきた栗岡先生が在宅医療を基礎から学べる本を執筆。日本が直面する超高齢社会において、在宅医療や在宅看取りの現状とあるべき姿が実際の事例を交えて書かれており、家族や自分自身の「最期」を考えさせられる。医療従事者も必携の一冊になっている
Clinic Data
院名 医療法人 光誠会 しろばとクリニック
電話番号 072-928-4877
所在地 大阪府八尾市光町1-29 サンフォレスト104
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