地方独立行政法人 市立東大阪医療センター

Helloご近所ドクター

院内の技術レベル向上と専門とする肺がん治療の躍進医療連携でがん治療に挑む

国指定のがん診療連携病院として、地域のがん診療の中核を担う市立東大阪医療センター。2020年4月に赴任された東山特任院長に、中河内医療圏におけるがん治療の現状と今後の展望についてうかがった。

がん診療連携拠点病院として

各診療科の技術向上と地域医療機関との連携を促進

市立東大阪医療センターは大阪府下に18ある国指定のがん診療連携病院の一つで、八尾市立病院と共に東大阪市、八尾市、柏原市で構成される中河内医療圏のがん診療の中核を担っている。そのような状況の中で東山特任院長は、2020年4月に中河内医療圏のがん診療のレベル向上を使命として大阪国際がんセンターから赴任された。「まずは当院内におけるがん診療の技術レベルの向上を目的として、がん診療センターを立ち上げました。従来までの委員会という名称からセンターに変更することで求心力を高め、私が専門とする呼吸器を中心に各診療科をレベルアップ。診療科単位で1〜2週間に1度ほど行われている検討会に加えて、複数の診療科が一堂に会する拡大キャンサーボードも立ち上げました」。多岐にわたる併存性を持つがん疾患に対して、チーム医療で対応する組織構築に尽力している。また、中河内医療圏または東大阪市という範囲で考えると、地域の開業医からの協力は不可欠で、がん治療における実績を持つ東山先生が病院の顔となって積極的な連携推進を働きかけている点も大きな成果だ。「地域全体のがん治療をレベルアップさせるには、医師会をはじめ各開業医の先生の協力は欠かせません。コロナ禍で難しい部分もありますが、可能な限り医師会の会合に出席するのはもちろん、地域医療機関と共に学術研修や症例検討を行う東大阪医療連携スクラム会も休止していたものを再開。少しでも顔が見える情報提供を心がけています」。予約システムの改善やICTを用いた連携など、地域医療連携室の取組みとあわせて、地域医療の連携促進に邁進している同院。「可能な限り中河内医療圏で発症したがんは医療圏内で完結する。その目標に向かって当院はもちろん、地域が一丸となって精進していきたいと考えています」。

肺がん治療の現状と対応

肺がん治療の症例数が倍増 高齢者に適した治療も実践

高齢者の罹患率が高い肺がん治療では、住居からの通院の利便性は重要です。例えば、放射線治療は1~2週間ほど毎日照射。抗がん剤治療も2~4週間隔に外来で行うことがあります。その点からも地域でのがん治療の必要性が高まっている。「私が赴任するまでは、当院の呼吸器は低迷していたこともあり、赴任後の肺がん治療は大幅に増加。以前は20~30例であった手術は70例ほどに、抗がん剤治療も20例ほどだったのが60例ほどになりました。呼吸器分野においては、マンパワー的に最大限対応できています」と東山先生。同院で対応できる症例に加え、脳転移のガンマーナイフや気道狭窄ステント、高難度気管支鏡などに関しては、高度専門医療施設との診療連携も円滑に行っている。「がん治療のガイドラインは75歳までが対象で、後期高齢者の治療は未知なるものがあります。がんの進行度はもちろんですが、フィジカル面に加えて、独居者が多いなどのソーシャル面も加味しながら、個別的な治療を選択していく必要があります。そういった点からも、当院はソーシャルワーカーを含めて高齢者への対応に慣れている病院だと思います」。同院は放射線治療にも非常に熱心で体力的に手術が難しい高齢者のがん治療に適した病院だと言えるだろう。

大阪府下に18ある国指定のがん診療連携病院の一つとして、東大阪市、八尾市、柏原市で構成される中河内医療圏のがん診療の中核を担う市立東大阪医療センター

東山先生の今後の展望

緩和ケア領域も充実し、がん治療をトータルで対応

コロナ禍では検診への足が遠のくことで早期発見がしづらいなど、がん治療が思い通りに進まない状況にある。そんな状況下でも、東山先生は今後の目標について次のように述べている。「がん治療において手術件数を増やしていくことを目指しながら、病院全体の患者数に対するがん患者の比率を上げていくことが課題です。現状では17%くらいなのですが、総合病院では一般的な20~22%くらいには引き上げたいと思っています。当院は緩和ケア領域もしっかりしていますので、ウィークポイントなくがん治療をトータルで行えるのが特徴です」。東山先生というがん治療の顔を得た同院の今後の活躍に期待したい。

市立東大阪医療センターでは胸腔鏡を併用し低侵襲な肺癌手術を積極的に導入している
呼吸器外科では、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカーなど多職種が毎週1回集まり、入院患者さんの退院に向けてのカンファレンスを行う
集学的治療の一角、抗がん剤治療を行う外来化学療法室

Clinic Data
院名 地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
電話番号 06-6781-5101
所在地 大阪府東大阪市西岩田3-4-5
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