地方独立行政法人 市立東大阪医療センター 古市 康子 小児科部長

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター 古市 康子 小児科部長
地域に根差した幅広い診療
コロナ禍による影響も対応
家族まで含めたケアを行う
一般診療のほかアレルギー外来、NICUでの集中治療など専門性の高い診療も行う小児科。またコロナ禍により子供たちの心身に現れた影響にも対応しているというこれらの取組みについて、古市先生にお話をうかがった。

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター

古市 康子 小児科部長

子供にとってのコロナ

ストレスや運動不足で
起立性調節障害が増加

新型コロナウイルスの影響は、小児科診療にも及んでいる。「感染予防が徹底され、一般的な感染症は減少しています。一方で、長期間の休校が子供の心身に負担をかけてしまったようです。1日中自宅で過ごすことで生活リズムが乱れ、起立性調節障害が多く見られるようになりました」。起立性調節障害とは、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛といった自律神経の変調に起因する疾患。血圧を調整する薬や漢方を処方する通院治療のほか、入院治療も可能だ。「規則正しい食事、適度な運動、リハビリなどで生活のリズムが整うのが1週間程度。すぐに退院するとまた変調をきたす恐れもあるため、さらに1週間様子を見て、親御さんのご希望もうかがいながら退院するか、さらに1週間ほど入院するか選択します。あまり長く入院しすぎても学校生活に戻るのが難しくなるので、長くても1カ月ほどを目処にしています。院内学級があり勉強もできるので、学業の遅れを心配される方も安心かと思います」。小学校5・6年生あたりから体が成長する。その急激な変化と、コロナ禍によるストレスや運動不足が重なり、こうした例が見られるという。また中学生になると、うつまではいかないまでも心身症をきたす子供もいる。「まずは地域の小児科を受診して、必要であれば紹介を通じて当院にご来院ください。臨床心理士によるカウンセリング、環境の変化を要する場合は入院、精神科の介入が必要ならそちらを紹介するなど、状態に適した処置を行います」。またコロナ禍により基礎疾患を持つ子供とその家族は大きな不安を抱えているだろう。「基本的には呼吸器や循環器の疾患でなければ重症化のリスクは低いとされていますが、そういった方の心のケアにも努めてまいります」。

プレイルームの一角を利用して勉強を教える院内学級

新しいNICU。新型コロナウイルスの感染予防措置として、現在はお母さんのみ面会可能

以前NICUがあった部屋を利用して設けられた、食物経口負荷試験専用の部屋。試験時はお母さんがベッドサイドに付き添ってあげられる

その他の診療機能

アレルギー専門医が在籍
新しくなったNICU

 地域の周産期医療センターという役割に関連してNICU(新生児集中治療室)を6床設けているが、2019年に場所を移し新しく生まれ変わった。以前は窓がなく狭い空間だったが、新しい部屋は日光が入り、面会に来ても十分広く感じられるスペースになった。「主に早産や、正期産でも何らかの治療を必要とする赤ちゃんを預かるユニットです。生まれてすぐにここで集中治療に入るのでお母さんは不安を抱かれると思いますし、赤ちゃんと引き離されたことにより育児に対する積極性を失ってしまうこともあります。そういったお母さんのため、NICUの看護師のほか、お母さんが入院されている周産期病棟の助産師や看護師とも連携し、退院後はスムーズに育児ができるようサポートしています」。近年増えているアレルギーに対しては専門医2名を配し、年間400例ほどの食物経口負荷試験を行っている。「どの食物にアレルギーがあるかは血液検査だけでは判断しきれないので、実際に食物を食べていただいて反応を確認する試験を日帰り入院で行います。その結果に基づいて、きめ細かく食事指導をしています」。夜間救急も輪番制で週3日受け持ち、小児科医が対応。このほか地域のクリニックからの紹介で入院加療を必要とする子供たちを受け入れている。

アレルギー専門医2名のほか、新生児医療を志す医師も在籍するなど多彩な顔ぶれ。子育て中の女性医師も多く、家族の思いにも配慮した医療を提供している

古市先生の思い

子育て環境まで見据え
家族も含めたケア

古市先生は長年、東大阪の地域医療に携わってきた。「子供を取り巻く環境は常に変化していますが、特に大切なのはお母さんの存在。そのお母さんが育児に不安を持っていたり、周囲のサポートを得られないということも増えています。また非常に若かったり、ご自身が疾患を抱えているという方もおられるでしょう。そういったご家族の支援も含め、市民がどういうことでお困りで、どこにニーズがあるのかを考えながら地域に根差した医療を提供したいと思っています」とのこと。不安があれば気兼ねなく相談でき、子供の治療や育児に前向きに取組むためのサポートをしてくれるようだ。

hospital data

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
TEL:06-6781-5101
東大阪市西岩田3-4-5


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