社会医療法人医真会 医真会八尾総合病院 (脳神経センター)

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二次救急病院として
脳卒中などの神経疾患や
動脈疾患のオペに対応
血管内治療医との連携で、高度なカテーテル手術を地域に先駆け実践してきた脳神経センター。神経救急疾患だけに留まらず、高齢者に多い動脈疾患や認知症にも取組む同センターの現在と未来についてうかがった。
社会医療法人医真会 医真会八尾総合病院 (脳神経センター)
黒川 真臣(紳一郎) 副院長 兼 脳神経外科部長・地域連携センター長
和田 敬 尾本 幸治 医長 岡本 愛
脳神経センターの特徴
脳卒中の救急搬送に
24時間365日対応
脳神経疾患に対する一般的な診療に加え、神経救急疾患である脳卒中にも積極的に対応している医真会八尾総合病院の脳神経センター。脳卒中といえば、がんや心臓疾患に次ぐ死亡原因として知られる国民病だが、発症から時間が開くと身体に障害が残る危険性が高まる。そこで同院では24時間365日対応で救急搬送に対応。万が一当直医が脳神経センター以外の医師であっても、《脳卒中コール》と呼ばれる情報管理システムで、患者の脳の状態を5名の担当医がリアルタイムで確認。放射線技師が撮影した画像をもとに指示を出し、即座に手術に取組める体制を整えている。
また同センターの特徴が、脳神経外科と血管内治療の医師たちがチーム医療で結びついた部門であることだ。脳卒中は「脳血管障害」というのが正しい病名であり、その名の通り血管内への治療が必要とされる。同院脳神経センターには、カテーテル手術に精通した血管内治療のスペシャリストが4名在籍。病態に最適な手術を提供できることが大きな強みとなっている。脳疾患の手術といえば、以前は開頭手術が基本だったが、1990年代後半から開頭せずに治療ができるカテーテルが普及。同センターの開設に尽力してきた黒川先生は、「私が当院に赴任したのは2001年ですが、その時からカテーテル手術の将来性に注目。2002年より現在の脳神経センターにつながる体制をつくり、地域に先駆けて、体への負担が少ない脳神経手術を広めてきました。スタート時には年間数十件程度だった手術数も、現在では350〜400件と大幅に増加。当センターの活動が地域に浸透した結果だと思います」と語る。
夜間緊急時でもモバイルデバイスから暗号化された脳疾患患者データが確認可能
血管内部を画像で確認しながらオペを行うカテーテル手術室
高度な血管内治療技術
動脈瘤コイル塞栓術など
高度な手術に実績
血管内治療といってもその術法にはさまざまなものがあるが、その多くが、皮膚から血管内に挿入して薬剤や治療機器を届ける細い管・カテーテルを用いた手術だ。同センターでは、くも膜下出血につながる脳動脈瘤(脳の動脈にできる膨らみ)に対し、カテーテル手術の発展である脳動脈瘤の中にコイルを詰める「コイル塞栓術」を導入。また脳梗塞につながる頸部頸動脈狭窄症(首の動脈が詰まったり狭くなる病気)には、「頚動脈ステント留置術」という網状の筒のような治療器具を用いて血管を広げる術法も導入している。同センターでのこの両手術の治療件数は全国有数レベル。いずれも高い技術が求められる高度な治療であり、脳動脈瘤の再発を予防する根治術として注目を集めているものだ。さらに同センターでは、高い血管内治療技術を脳疾患以外の治療にも活用。高齢者に多く発症する末梢動脈疾患という手足の血流が悪くなり、痛みや歩行困難につながる病気にも、カテーテルで四肢の血管を拡張する治療を年100件程度行っている。こうした実績は、同院が総合病院として地域の開業医や病院と連携し、患者さんの受け入れに尽力している現れといえるだろう。
地域連携センター長でもある黒川先生は開業医との連携にも尽力
医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカー、近隣病院関係者によるカンファレンスを毎週開催。患者の治療から社会復帰を支援している