医療法人 恵生会 恵生会病院

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分娩をサポートする
地域で唯一の総合病院
卵管性不妊に有効な手術も
人口50万人を抱える東大阪市で、分娩に対応できる唯一の総合病院である恵生会病院。晩婚化に伴い不妊症に悩む患者さんも多いなか、妊娠確率の上昇に期待できる卵管鏡下卵管形成術を採用して、患者さん目線の医療を展開する。
医療法人 恵生会 恵生会病院
松田 孝之 副院長 脇本 栄子 先生
開業から続く産婦人科
年間700件の分娩と同時に
不妊治療にも注力
産婦人科を起点として開業に至った恵生会病院は、分娩に対応できる地域唯一の総合病院として、数多くの命が誕生する瞬間に立ち会ってきた。今では、内科・外科・小児科など多岐にわたる診療科目と密な連携体制を整え、妊娠・出産で起こり得る多様な事態に対応しながら、年間約700件の分娩と向き合っている。不妊治療にも注力する同院にて、生殖医療専門医としても活躍する脇本先生に話をうかがった。「当院では妊婦検診や出産など周産期分野の他、筋腫、卵巣嚢腫などの良性腫瘍、月経不順から更年期といった内分泌、人工授精までの治療が可能な不妊症など、幅広い診療を行っています。診療ポリシーには、自然分娩を中心とした分娩を行う、分娩誘発や会陰切開をできるだけ行わない、胎児の状態に合わせて小児科医が立ち会う、患者様の希望によっては無痛分娩を実施する、など明確な方針を掲げています。近年、晩婚化により40代で出産を迎える方が増加するなか、不妊に悩んでいる方も多くいらっしゃいます。不妊治療においてはホルモン検査、エコー、卵管造影など細かく調べた上で、年齢も考慮し治療を選択していく事が必要です。中でも卵管性不妊は原因の約3割を占め、その後の妊娠に大きな影響を与えます」。過去、体外受精まで携わってきた脇本先生は「卵管性不妊でもケースによっては、治療すれば妊娠できる可能性は十分にあります。身体的にも精神的にも非常にデリケートな問題ですが、諦めずに一度相談に来て欲しい」と、不妊治療を通じて患者さんの悩みを解決したいという強い想いを話す。不妊症の原因は女性のみならず男性側に原因を抱える場合もあるため、男性に対する検査も実施して、慎重な診断を行うよう努めている。
生殖医療専門医の脇本先生。卵管鏡下卵管形成術により不妊治療の幅が広がるという
卵管鏡下卵管形成術で使用するカテーテル。卵管の通過性を回復して、妊娠確率の向上に貢献する
不妊症に有効な手術を採用
卵管鏡下卵管形成術で
妊娠確率向上に貢献
卵管に問題を抱える患者さんは比較的多く、意外に思われるかもしれないが、妊娠経験のある方にも異常が見つかることは珍しくないと語る脇本先生。「一般的にはタイミング療法の後、排卵誘発、人工授精と徐々にステップアップしていきますが、受精の場である卵管が狭窄・閉塞状態にある場合には一般不妊治療での妊娠は困難です。当院ではこれら一般不妊治療に加えて、卵管鏡下卵管形成術も行っています。これまでは、卵管の通過性を回復させることは困難と考えられていたため、体外受精を選択せざるを得ませんでした。しかし、カテーテルを用いて狭窄・閉塞部分を広げることで、卵管通過性の改善が期待でき、一般不妊治療による妊娠の可能性が出てきます」と、手術の有用性について語ってくれた。卵管に問題がある場合、3年以内の妊娠確率は約15%と言われているなか、手術によって妊娠の確率は20〜30%にまで向上するという。手術は保険適用内で、所用時間は約30分程度。静脈麻酔での施術のため、日帰りで手術を受けられる。ただし効果は永続的ではなく半年から8ヶ月で妊娠に至らない場合には、再狭窄・再閉塞の可能性を考え、高度不妊治療を提案する場合もあるとのことだ。
教育入院病棟の外では、歩行のリハビリができるスペースを作っている
日本糖尿病学会認定教育施設Ⅰとしての指定も受けている恵生会病院。診療体制の強化だけでなく、糖尿病専門医の育成にも取組み、東大阪の医療充実に努めている