医療法人桜希会 東朋八尾病院 奥田 真義 人工関節センター長

Helloご近所ドクター
低侵襲手術に独自の麻酔法
秀でた技術力で患者を救う
人工関節センターがオープン
傷口を最小限に抑えた
低侵襲手術が可能な技術力
2020年1月、東朋八尾病院に人工関節センターが開設された。センター長は、他病院でも人工関節センター長を務めていた経歴のある奥田先生だ。人工関節は膝関節と股関節があり、主に変形性関節症の患者に適用される。「変形性膝関節症は日本国内で2300万人の罹患者がいるといわれ、今後ますます人工関節置換術の需要が増すと予想されます」。奥田先生は膝関節・股関節とも人工関節置換術をこなし、その技術を磨いてきた。「以前は20cmほど切開してインプラントを埋め込んでいましたが、現在はMIS(ミニマム・インベイシブ・サージャリー)という低侵襲手術の手法が取り入れられ、膝なら10cmほど、股関節は6~8cmほどの切開で済みます」。インプラントを入れられるだけの最小限の傷で済み、筋肉を切る幅も狭いことから、術後の痛みや経過も良好にできる。いまだに20cmほど切開している病院が多いことから、奥田先生の技術は特筆すべきものだ。また術後の痛みを抑え、苦痛を軽減するとともに患者が人工関節に踏み切るハードルを下げたいとの思いから、麻酔法も独自に工夫している。
骨と噛み合う部分に刻み(ポーラスコーティング)が入った、セメントレスの人工関節
人工股関節・膝関節とも奥田先生が執刀している
手術後は皮膚ではなく皮下を縫い合わせるため、抜糸は不要。また表皮にはダーマボンドを塗ることで、感染等を予防している
独自の麻酔で除痛処置
安全なインプラントを使用
奥田先生が取り入れている麻酔は硬膜外麻酔というもの。手術時に腰の神経近くにチューブを挿入し、術後もそこから麻酔薬を注入するという方法だ。硬膜外麻酔は術後の安静中に脚に血栓ができる可能性があることから採用していない病院もあるが、奥田先生は患者の負担を軽減したいという考えから採用。もちろん血栓ができないよう管理し、安全に行っている。また膝関節の手術の際は、硬膜外麻酔に加えて独自に開発した部分カクテル麻酔を行い、除痛に細心の注意を払っている。人工関節は以前は耐用年数が20年ほどとされていたが、現在は素材等が改良され30年ほどに延びている。「以前の機種では人体の軟骨にあたる部分に使われるポリエチレンが年を経るごとに磨耗し、そのカスに反応したマクロファージがカスだけでなく骨も食べてしまうということがありました。現在は強度の高いクロスリンクポリエチレンが開発されており、磨耗することなく長く使っていただけます。またインプラントと骨を固着させる骨セメントも人体に影響を及ぼすものでしたが、現在はインプラントに刻みを入れて骨と馴染ませて生物学的に固着する手法を採用しています」。こうした技術のおかげで耐用年数が延びたことから、以前は65歳以上の患者に手術を適用していたが、現在は50代にまで適用の幅が広がっている。とはいえ、すべての症例に手術を勧めるのではない。注射による保存療法や再生医療の提案など、患者それぞれの状態に合わせた処置を選択肢として提示できるのも奥田先生の強みだ。
手術後はリハビリが重要
頑張れば正座も可能に
人工関節置換術を受けたあとはリハビリが必須となる。翌日から立つ、車椅子に乗るといった練習を始め、歩行器や杖で歩く練習にステップアップし、最終的には一人で階段を昇降できるようになれば退院。ここまで平均で3週間、早い人なら2週間で退院することもある。退院後も外来で奥田先生が診察しながらリハビリを続けることで、人工膝関節でも正座が可能になるほど関節の可動域が広がるという。「私の母も昨年膝の手術をし、今では正座もできます。適切な手術を受けてリハビリを頑張れば、以前よりも快適な生活が送れるはずです」。手術後の生活はそれまでと一変するということだ。まず関節の痛みは消え、生活に及ぼしていた支障はほとんどなくなる。スポーツができるほど運動機能が回復し、テニス、登山、卓球など様々なスポーツにもチャンレンジできるようになる。「担当患者さんで一番驚いたのは、67歳の男性がソフトボールでランニングホームランを打ったという話。また女性には立ち姿、歩く姿が綺麗になると喜ばれています。何歳になっても見た目は大切ですよね」。変形性関節症の痛みを我慢している方は多いが、例えば膝関節症を放置していると股関節や腰まで痛めることがある。また内側の骨が削れてO脚が進み、そうなると手術の難易度も上がるという。痛みがあればまずは奥田先生に相談して早めの処置を。そして健康的で不自由のない生活をリハビリで取り戻してほしい。
スタッフからのMessage
自分で歩けるようになるにはリハビリが大切。理学療法士と一緒に頑張りましょう!
奥田先生が作成した計画書に基づいて、リハビリを指導しています。変形性関節症は関節周囲の筋肉が硬くなり曲がりにくくなりますが、奥田先生が手術した患者さんはリハビリを始めた当初から関節が曲がりやすいのが特長。一緒に頑張って、痛みや不自由のない生活をめざしましょう
教えて!先生
手術の後、退院してからどれぐらいの期間通院しないといけないですか?
半年ほどは通院リハビリをお願いしています。ご自宅でもできるリハビリも指導していますが、一人でするとなるとなかなか難しいと思います。週に1~2回は通っていただいて、状態をチェックしながら理学療法士の指導を受けてください。リハビリが終わった後も3ヵ月~半年に1回は外来で診察し、手術をした患者さんは一生関わるつもりでアフタフォローに努めています
奥田 真義 先生
【プロフィール】
A型/いて座/奈良県出身/奈良県立医科大学卒/医学博士/日本整形外科学会専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター/JOSKAS評議員
【好きなスポーツ】
体を動かすのが好きでバスケットボール、フットサル、冬はスノーボードもしています。朝6時半からテニスをして出勤する日もあります
【休日の過ごし方】
家の庭で子どもとサッカーやバスケットボールをしています
【ストレス発散法】
お酒を飲むこと。患者さんには酒好きがバレてて、よく「今日はどこに飲みに行くんですか?」と聞かれます
【健康法】
ちゃんと休肝日を設けているのと、週に1回、加圧トレーニングをしています