八尾市立病院 田中先生

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地域医療のニーズを捉え
専門性の高い小児医療を追求
中核的役割を担う病院へ
地域の中核病院として重要な役割を担う八尾市立病院。平成24年には地域医療支援病院の承認を受け、地域との連携をさらに強化。なかでも同院の小児医療を牽引してきた田中副院長に、小児科、そして病院全体の現状についてお話をうかがった。
八尾市立病院
田中 一郎 副院長・診療局長
小児科の取組み
専門外来で高度な医療を提供し
市民への啓発活動にも注力
八尾市立病院の小児科では、一般外来に加え、専門外来、救急外来、また入院診療にも対応し、八尾市の中枢病院として幅広いニーズに応えられる体制を整えている。「当院の小児科は33床の病床と、新生児を専門に診るNICU(新生児集中治療部)を6床備えています。専門外来では、スタッフの専門性を生かして、アレルギー外来に力を入れています。アレルギーの患者さんは年々増加していて、当院に受診に来られる患者さんも増えていますね。そういったニーズに応えるためにも、地域医療連携室の方と協力して、八尾市の保育園や幼稚園にアレルギーに関して周知する活動にも取組んでいます。特に、食物アレルギーの子どもも増えていて、食物経口負荷試験を行い、制限する食品を判定するなど適切に指導できるよう心がけています」と話してくれたのは、副院長で診療局長でもある田中先生。さらに低身長で悩む子どもを診療できる体制を築きたいと内分泌外来にも注力。病院側から学校へ受診していただく機会を発信している。アレルギーや内分泌など専門的な分野に対しても、八尾市を中心とした地域のニーズを満たせるだけの医療が充実しているので、地域住民も安心できるだろう。また、平成26年度よりスキンケア外来にも注力しているという田中先生。「産まれた時からスキンケアをしていたらアレルギーを起こしにくいという臨床研究のデータを見て、すぐに当院でも取組んでいこうと思い始めました。まずは当院で産まれた赤ちゃんを対象に、退院時に情報をお伝えしています。1か月検診で湿疹の具合をチェックして、必要に応じて受診していただきスキンケアをしましょうと啓発活動を行っています」。院内の患者さんを中心にスタートしたスキンケア外来だが、今では他院からの問い合わせも多い。
患者さんと同じ目線に立ち、親身で的確な医療を提供できるよう努める田中先生
乳幼児からのスキンケアを推進し、皮膚アレルギー予防の周知を積極的に行っている
地域とのつながり
輪番制で小児救急に対応
中核病院としての役割を担う
中河内地区の小児救急は、病院間での輪番制を採用している。毎週火曜日と土曜日を同院が担当し、一次救急(外来対応)から二次救急(入院医療対応)に対応可能。八尾市周辺の病院と密接に連携を図りながら、積極的に小児救急に挑んでいる。同院を中心とした地域全体の小児救急体制について田中先生は、「私が赴任してから7年間で少子化の影響もあり、小児救急の患者数も少しずつ減少していますが、インフルエンザが流行している時期には、1日で200人近くの患者さんが来院することがあります。最近では、大阪府が小児救急電話相談などにも力を入れているので、支援の体制は整備されつつあると感じています」。八尾市の小児救急を支えるためには、地域医療機関との密な連携は不可欠。その意味でも地域医療支援病院として承認を受けている同院は、八尾市の医療の中心的役割を担っている。「地域医療支援病院として、地域の診療所や病院との関係は重要視しています。小児科で言うと、八尾の小児科医の先生方との連携を大事にしていますね。地域に根差した医療を提供するということは基本だと思っています。もちろん医者だけじゃなくて、看護師や地域医療連携室がそれぞれの役割を果たし、そういう人たちの力があって初めて地域医療支援病院として成り立っていると思います」。
アレルギー外来をはじめ、低身長に悩む子どもをケアする内分泌外来など幅広い専門外来に対応
医師や看護師、スタッフ一同がチームワークを心がけている小児科。子どもたち一人ひとりに寄り添い、きめ細やかな対応に努めている