【対談】社会医療法人 信愛会 交野病院 信愛会脊椎脊髄センター 豊嶋 敦彦医長× 信愛会脊椎脊髄センター 上田 茂雄センター長
脳神経外科と整形外科の医師が在籍
多角的な視点で脊椎・脊髄疾患を診療
腰痛や頸部痛、手足の痛みやしびれは生活の質に大きく関わる。交野病院では痛みに悩む患者さんを一人でも多く救うため、脊椎脊髄センターを設置。脳神経外科と整形外科が協力し、患者さんに合った治療を提供している。
患者さんのQOL向上を目指す
脊椎脊髄センター
信愛会脊椎脊髄センターでは、脳神経外科と整形外科の医師が連携して診療方針を決定。様々な角度から患者さんに最適な治療を検討する
脊椎脊髄センターの特徴
豊嶋
首や腰、手足の痛みの原因は様々であり、一つの診療科では十分な診断が行えない場合があります。当センターでは脳神経外科と整形外科の医師が在籍しているため、双方の視点から患者さんを診断して治療方針を決定することができ、大きな特徴だと感じています。
上田
設備面でも充実しており、顕微鏡や内視鏡はもちろん、外視鏡と呼ばれるカメラを患者さんに近づけ、大きなモニターに患部を映して正確に手術できるシステムも導入していて、幅広い治療が行えます。また、手術数は年間1000件を超えており、各症例への対応がプログラム化されているので、どのスタッフが担当しても安定した医療を提供することができます。
身体的負担の少ない手術
豊嶋
当センターではできるだけ傷口の小さい低侵襲な手術を行うことを基本としています。例えば頸椎の手術では多くの症例で3~5cm程度、腰椎椎間板ヘルニアでは2~3cm程度の皮膚切開で手術が可能です。
上田
なぜ侵襲性の少ない手術を重視するかというと、患者さんの早期の職場復帰や家庭復帰を目指すためです。傷口を小さくすれば出血量が抑えられ、体力を大きく失わずスムーズにリハビリへ移行できます。当センターでは手術翌日からリハビリを開始し、早ければ一週間程度で退院する方が多いです。身体的負担の大きい手術でより完全な治療ができるとしても、体力が戻らず動けなくなっては本末転倒ですので、社会復帰を目指せる治療を第一に検討しています。
受診の目安
豊嶋
首、腰に痛みがある、あるいは手足にしびれがあっても、日常生活に支障がなければ我慢される方が多いと思います。しかし、痛みやしびれには原因があり、その原因を理解しておくことは重要です。首の神経の通り道が狭くなっていることを知らずに生活していて、転倒などをきっかけに急激に悪化するというケースは非常に多いので、原状把握のためにも痛みやしびれがあれば受診してほしいです。
上田
実際にあったケースなのですが、自分で肩こりだと思いこみ、マッサージやブロック注射で様子を見ていた方が、実はがんが原因で痛みが発生していて、気づいた時には手遅れだったということもあります。痛みやしびれが長く続いているという方は、ぜひ診断を受けてみてください。
難治性疼痛外来
上田
当センターでは昨年から難治性疼痛外来を開設していて、これまで保存的治療や手術を受けたけれども痛みが改善しないという方の診療を積極的に行っています。そこでは脊髄電気刺激療法という新しい治療も導入していて、痛みを軽減できるケースもあります。痛みに悩んでいる方は、ぜひ諦めずにご相談いただければと思います。
豊嶋
難治性疼痛外来では、お一人あたり1時間ほどの診療時間を確保していますので、どの部位が痛くて、どう困っているのかをじっくりお話しいただければと思います。受診=手術ではなく、保存的治療で症状を改善できるケースも多いですので、怖がらずに受診いただければ幸いです。