「頼られる病院」を目指し様々な情報発信を行う地域に開かれた大学病院
大学病院として専門性の高い医療を提供しつつ、市民病院としての役割も担う関西医科大学香里病院。さらなる地域貢献を目指し、現在様々な情報発信を行っている。その詳細を岡崎病院長にうかがった。
地域に寄り添う大学病院
地域住民の声に耳を傾け様々な発信を行う
大学病院では珍しい夕方診療に対応し、紹介状のない患者さんに発生する選定療養費を廃止するなど、患者さんが受診しやすい環境を整備している関西医科大学香里病院。京阪電車の香里園駅からデッキ直結で徒歩約1分とアクセスも良好で、大学病院を受診するという心理的なハードルはほとんどない。コロナが5類感染症になって以降は、これまで以上に周辺住民との交流の機会を増やしており、さらなる地域貢献に邁進している。岡崎病院長に取組みの詳細をうかがった。「これまでも地域の皆様に医療について関心を持っていただけるよう、市民公開講座などを行っていましたが、アンケートなどで出張講座をしてほ
しいというご意見をいただいていたため、昨年から開始しました。「生活習慣病と予防」や、「健康診断」などをテーマに、近隣の自治会で講座を行ったのですが、多くの方が意欲的に受講されていました。今後も希望があれば、続けていきたいと考えています。また、待ちの姿勢ではなく当院からも発信を行えるように、令和6年4月からLINEアカウントを開設しました。イベントのレポートや、〝内視鏡検査について〟、〝子宮筋腫について〟といったテーマで月に何度か配信を行っており、現在では約3,000名の方にご登録いただいております。そのほか、香里中央商店街の秋フェスに参加して無料健康相談などを行い、病気の予防に対する意識を持っていただけるよう活動しました。こうした取組みを続けることで、地域の方に〝頼られる病院〟となることができればと考えております」。



病院機能の充実
化学療法センターや予防医療センターを開設
地域に開かれた病院として幅広い活動を行っている同院だが、大学病院としての機能の充実にも力を入れている。令和6年4月には、外来化学療法室をアップデートし、化学療法センターを設置。通院でがん薬物療法を受けられる方に対し、医師や看護師、薬剤師など多職種のスタッフが連携して対応することで、今まで以上に手厚い治療が受けられるようになった。一方で近年、病気になってから治療をするのではなく、病気にならない、あるいは早期発見することの重要性が増しており、予防医療の体制も強化を行う。主な取組みとして、令和7年春に人間ドックやがん検診が受けられる「予防医療センター」を病院2階に開設する。CTやエコー、内視鏡など大学病院ならではの高度な医療機器が揃っているため、病気の早期発見に期待ができる。また、令和7年度中にはMRIの更新が行われる予定とのことで、より精密な検査が可能になる。そのほか、病院の安全管理体制や療養環境を評価され、令和6年6月に日本医療機能評価機構の認定を受けた。これらの取組みは、地域住民に大きな安心を与えるはずだ。

災害対策を強化
防災訓練の増加や地下水の活用を実施
同院は災害対策にも注力しており、病院の敷地内に井戸を掘り、バックアップ水源として活用できる体制を整えている。地下水給水システムを整備したことで、断水になった際も途切れることなく透析治療を受けることが可能となっている。また、能登半島地震の発生を受け、防災訓練の回数を増加。年に3回の机上訓練を行った上で、地下水を活用したバケツリレーを取入れた防災実施訓練も実施した。「万が一災害が発生した際にも、通常と変わらない治療を提供できるように、今後も訓練をしっかり行っていきたいと思います」と、岡崎病院長は熱意を込めて語った。