関西医科大学香里病院

内科・総合診療科
原因不明の症状に悩む方を適切な治療につなぐ内科・総合診療科。2022年8月から、高血圧・循環器病を専門としてきた岩嶋先生が新たに加わった。先生の専門と同科の役割について話をうかがった。
生活習慣病とも関わり深い全人的医療の重要性
新内科部長からの目線
昨年8月、関西医科大学香里病院の内科部長に就任した岩嶋先生に、内科・総合診療科の印象を聞いた。「まだまだ総合診療科を標榜する大学病院は少なく、地域に密着している印象です。内科・総合診療科にはさまざまな専門スキルを持った先生が揃っていますし、診療科ごとの横のつながりも強い。どこにかかればいいか判断できない場合は、まずは頼っていただければと思います」。

不安を抱えて来院する患者さんが少しでもポジティブになれるように、丁寧な診療を心がけている岩嶋先生
高血圧管理の重要性
これまで国立循環器病研究センターの腎臓・高血圧内科で医長を務めた経歴もあり、高血圧、循環器病、人工透析の専門医である岩嶋先生は、血圧管理の重要性を訴える。「北河内医療圏は高齢者の割合も多いので、必然的に糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病で来院される方も多くいらっしゃいます。高血圧は60歳を超えると有病率が増えてきて、高齢者の約3人に1人は患っています。自覚症状に乏しいですが、高血圧による動脈硬化は脳心血管疾患(脳卒中・心筋梗塞など)の原因になるため血圧の管理がとても重要です」。続けて岩嶋先生は診療のポイントを次のよ
うに説明した。「今は家庭血圧計が普及しているので、患者さんにご自宅で家庭血圧を測っていただき、そのデータも参考にしながら、生活習慣の指導や薬物治療を行っています。生活習慣の改善は医師の目が届かない普段の生活を変えていただく必要がある。診療の場では納得感のある丁寧な説明をして、安心いただけるように心がけています」。
また、腎臓病が進行すると必要になる可能性が高まるのが人工透析だが、岩嶋先生は透析も同院の強みの一つだと語った。「臨床工学技士や看護師によるカルシウム・リン・副甲状腺などの管理がきめ細やかです。腎臓病については地域の医療機関と連携システムを構築しており、重症化の予防に努めています」。
内科・総合診療科の役割
「ここ20年ほどの特徴として、高齢の方は複数の疾患を有していて、一つの疾患の専門診療だけでは身体全体を治療することが難しくなっています」。そうした背景で、地域の医療ニーズに応えるために設置されたのが内科・総合診療科だ。岩嶋先生は「当科では、目の前の患者さんに対して全人的医療を提供すること、そして、総合診療医を育成することを目指しています」と語った。総合診療医の数が増えることは、そのまま地域全体、ひいては日本全体の医療レベル、診療レベルが向上することを意味する。時代の一歩先を読む同院の取組みに今後も目が離せない。

腎臓病センターでは入院透析に加えて関西医科大学グループで初となる外来維持透析も提供。看護師や臨床工学技士による質の高い透析は同院の強みの一つ

理事長特命教授で、総合診療科部長の石丸先生。超高齢社会が加速する日本において全人的医療を提供するため、若手の総合診療医の育成を精力的に進めている
