【対談】関西医大総合医療センター 形成外科 鈴木 健司先生 × 皮膚科 清原 隆宏先生

ドクター 対談

長寿命化で増加する
スキンキャンサー

スキンキャンサーとは皮膚がんや軟部悪性腫瘍の総称。これまでは希少がんとされてきたが、昨今の長寿化に伴い症例が増加している。それに対し形成外科、皮膚科、放射線科、病理診断科がチームとなって立ち向かう。

皮膚がんや軟部悪性腫瘍と闘う
スキンキャンサー治療センター

メラノーマの実際の病変。メラニンという色素を作る色素細胞ががん化したものと考えられていて、黒色をしていることが多い

センター開設の経緯 

鈴木
以前は症例が少なかったスキンキャンサーですが、増加傾向にあることを実感しています。形成外科は手術や皮膚の再建を得意としていますが、化学療法や放射線治療については経験が浅く、他科と連携する必要性を感じていました。その折に、化学療法に精通する清原先生が当院にお越しになって、連携が叶ったことを嬉しく思っています。
清原
皮膚科の立場で考えると、顔の中心の腫瘍を取り除くような難度の高い手術や、皮膚の再建が必要になると、皮膚科だけで解決することは難しくなります。センター化されたことで、形成外科、皮膚科、放射線科、病理診断科がよりシームレスに連携できるようになり、それぞれの強みを活かしやすくなりました。これは患者さんにとってもメリットだと思います。

スキンキャンサーの診断

鈴木
スキンキャンサーは、初期なら手術で切除すれば100%に近い確率で治療することが可能です。しかしながら現状では進行した状態で診療を開始することが少なくありません。スキンキャンサーについてもっと情報を発信することで、早期発見に繋げたいという思いがあります。
清原
軟部悪性腫瘍は珍しいがんである上に、種類も非常に多彩です。そのため一般の方だけでなく、皮膚科の医師であっても診断は難しいのですが、当院では皮膚科と形成外科で相談しつつ、病理診断科との連携で免疫染色や遺伝子解析を行うことも可能です。気になる皮膚の症状があった時は「大したことない」と思わずに、皮膚科や形成外科を受診してください。
鈴木
院内で連携して診断に当たれるのは当院の大きな強みですよね。過去には湿疹だと思っていたものが実はがんだった、という例もありましたので、小さなできものであったとしても油断せず相談してほしいと思います。

鈴木健司センター長/日本形成外科学会専門医であり、悪性腫瘍切除後の再建術を得意とする。皮膚科と連携し手術の面から支援を行う
清原隆宏教授/皮膚悪性腫瘍指導専門医であり、近年開発が盛んなメラノーマに対する免疫療法や分子標的療法を行うことができる

化学療法の現在

鈴木
がんが進行すると、手術だけでなく化学療法が必要なケースも発生します。化学療法の現状はどうでしょうか。
清原
例えばメラノーマという病気は進行期になると治療することが難しかったのですが、2014年に大きな話題となった免疫チェックポイント阻害薬が登場して以降、それに類する免疫療法の薬や、分子標的薬と呼ばれる薬が次々と登場し、ある程度闘えるようになってきました。これまでの成績から考えるとおよそ3、4割の勝率というのが現状です。早期発見が一番大切ですが、がんが進行した際にも諦めないでいただければと思います。
鈴木
これらの薬は複雑な副作用の管理などが必要で、どの病院でも使えるというわけではなく、薬によって施設が限定されています。当院では使用が可能ですので、この点も大きな強みです。また化学療法以外にも、放射線科による放射線治療も行うことができるため、どのステージのがんでも治療にあたることができます。

臨床写真の重要性

清原
最後に広く先生方にもお知らせしたいことがあります。まだエビデンスのはっきりしない部分ではあるのですが、先程述べたメラノーマという病気は、検査で中途半端にメスを入れて時間が経過すると、より悪性度が増す可能性があります。希少がんなので診断の難しい部分はありますが、何か疑わしい要素がある時は、切る前にご紹介いただければと思います。また、切除後に異常があって紹介される際、臨床写真が診断に重要な要素となります。術前の写真はぜひ残していただきたいです。
鈴木
形成外科の観点からも、どういう形で切除されたかは重要な要素であり、臨床写真は不可欠です。ほくろであったとしても、切除する際は1枚でも良いのでぜひ撮影をお願いいたします。

ダーモスコープと呼ばれるライトがついた拡大鏡。切らずに皮膚の状態を詳しく診察できる。メラノーマの早期発見に役立つ

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関西医科大学総合医療センター
TEL:06-6992-1001
守口市文園町10-15


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