【対談】関西医大総合医療センター 消化管外科 徳原 克治准教授 × 腎泌尿器外科 室田 卓之准教授 × 腎泌尿器外科 三島 崇生講師

ドクター 対談

負担の少ない手術を提供
ダヴィンチの可能性

関西医科大学総合医療センターは2022年8月に最新型の手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入した。その運用やメリットについて、キーマンとなるロボット手術支援センターの3人に話をうかがった。

消化管外科と腎泌尿器外科の疾患を
ダヴィンチ手術で治療する

室田 卓之准教授
日本泌尿器科学会専門医/指導医、日本内視鏡外科腹腔鏡下技術認定医。専門は尿路生殖器のがん治療。ロボット手術支援センターのセンター長として、安全な手術のマネジメントも担う。腎泌尿器科の診療部長で、ロボット手術支援センターのセンター長でもある室田先生。「全体をマネジメントして、安全できめ細やかな医療提供に尽力しています」

ダヴィンチ導入とセンター開設 

徳原
当院では2022年8月に最新の手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入し、10月から消化管外科と腎泌尿器科で運用を始めています。ダヴィンチ手術は、術者が操縦席に座り、患部を鮮明な3D映像で確認しながらロボットアームを遠隔操作する手術です。アームは繊細で複雑な動きが可能なので、患者さんの負担軽減につながります。
室田
ダヴィンチの導入に合わせて、手術に関わる医師、看護師、臨床工学技士、事務員など多職種が連携したロボット支援手術センターを開設しました。ダヴィンチを使う診療科の教育や審査をすることで、より円滑で高品質な手術に寄与し、患者さんの安全確保に努めています。

ダヴィンチ手術のメリット

徳原
消化管外科では大腸がんの手術に使用しています。大腸のなかでも直腸は骨盤の深部にあるので、従来は鉗子という手術器具で周辺の臓器を持ち上げて手術しなければいけませんでした。その点、ダヴィンチのアームは先端が360度回るので、直接患部まで届きます。それだけで患者さんにとって大きな負担軽減になります。
三島
そうですね。手ブレがなく、数ミリ単位の精緻な動きができるダヴィンチは骨盤内のような狭い場所の手術で真価を発揮します。腎泌尿器外科で扱う疾患も骨盤の深部ですが、膀胱・前立腺・子宮など重要な臓器を傷つけずに手術ができるので、排尿機能や性機能の温存の可能性も高まりました。

徳原 克治准教授
日本消化器外科学会専門医/指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医。大腸がんに対する腹腔鏡下手術や全身化学療法、便失禁などの大腸機能性疾患治療を得意としている
三島 崇生講師
日本泌尿器科学会専門医/指導医。泌尿器腹腔鏡技術認定医として泌尿器科疾患全般に対応。専門の前立腺肥大症(TUBE)や女性泌尿器疾患で高度な治療を提供している

より多くの患者さんを救う

三島
これまでの手術は術者の技量に頼るところが大きかったですが、ダヴィンチは機械の使い方に慣れてしまえば、誰でも高い品質の手術が可能になります。手術に必要な医師の人数も3人から2人になるので、外科医の人数が減少傾向にある日本で、より多くの患者さんに高度な手術を安定して提供するために欠かせないものとなるでしょう。
室田
医師の教育という面でも有用ですね。術部の映像は大きなモニターで術者以外も確認できます。術者以外がモニターに線を引くこと、術者が見ている映像に反映できるので、切るべき場所の下書きが可能になります。口頭による説明では伝えづらいことも直感的に教えられるので、効率的な教育にもつながるんです。

ロボット支援手術の拠点へ

室田
これからはダヴィンチ手術の対象になる疾患を増やしていきたい。当院の先生方はダヴィンチ手術のライセンスを取得するのに申し分のない技術をお持ちなので、後は施設の基準をクリアするだけです。
三島
私は女性泌尿器疾患も専門です。骨盤臓器脱など女性特有の疾患に対してもダヴィンチはメリットが多いので、少しでも対応疾患を増やして、患者さんに還元していきたいと思っています。
徳原
大腸がんのダヴィンチ手術執刀者は関西医科大学附属の4病院の中でも私だけなので、より技術を高めます。他の消化管外科疾患にも順次対応していき、京阪沿線におけるダヴィンチ手術の拠点を目指します。

ダヴィンチ手術の様子。術部の映像はモニターで術者以外も確認できる。また、タッチパネルにもなっているので、指で線を描き、術者へ指示も可能

hospital data

関西医科大学総合医療センター
TEL:06-6992-1001
守口市文園町10-15


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