枚方公済病院

枚方公済病院
レインボー手帳の運用をさらに広げて地域に貢献 診療機能の充実も図る
以前より取組んできたレインボープロジェクトの基盤が固まり、医師の確保による診療機能の強化も進む枚方公済病院。これら取組みを牽引してきた野原院長に、現状と展望についてお話しをうかがった。

枚方公済病院

野原 隆司 院長

レインボー手帳が進展

ブラッシュアップを重ね さらに広域での運用を目指す

 野原院長は以前より枚方エリアにおける心不全患者の増加を懸念されてきた。「循環器疾患のほとんどの患者が、最終的には心不全としての対応を余儀なくされています。その為いかにして心不全に対応するかが重要な課題であり、その対応は病院だけでできるものではなくなっています」。心不全はがん同様予後が悪いと言われ、急性憎悪で再入院する度に心機能が低下し徐々に悪化していく。同院では心血管二次予防(虹を呼ぼう)プロジェクトとしてレインボー手帳を発行し、心不全対策を進めている。「この手帳はお薬手帳のように患者さんに持っていただくもので、医療、介護、薬剤師など多職種がその患者さんの状態や経過について記入することができます。それらの情報を多職種で共有し、再入院を防ぐために関わっていきます。また患者さんご自身がどんな生を全うしたいかを記入する欄もあり、アドバンスドケアプランニングにも対応しています」。同院が主催する勉強会でも手帳を紹介し、周知を進めてきた。また手帳を介した連携だけでなく互いの顔が見える交流も重視し、勉強会でのテーブルディスカッションなどを通じ各々の立場や考え方を吸収したうえで「患者さんのために」という思いを共有した連携を図っている。現在は第二版を発行し、各専門職の声を反映したより使いやすいものにブラッシュアップされた。また第二版からは同院の名称の記載が除かれている。「今後は北河内、大阪などに拡大して、各地域で使われるのが理想です。そのため事務局として連絡先は記載してますが、当院だけの事業ではなく各地域の事業として根付いてほしいという意味を込めて、名称を削除しました」。同院の取組みをロールモデルとし、全国に広がっていくことが期待される。

レインボー手帳の普及と運用に携わる藤田循環器内科医長

手帳には毎日の体重、血圧などの記録や目標設定を書き込む欄があり、患者自身がモチベーションを保ちながら治療に取り組めるよう工夫されている

さらに強い病院へ

研修医確保で活性化 新棟の建設計画が始動

 救急医療を担う病院として、循環器疾患だけに対応しているわけではない。「北河内は消化管出血が弱点。なんとか24時間365日の救急対応の強化を目指しています。また麻酔科の常勤医を2名確保し、より多くの手術ができる態勢を整えました」。こうしてセーフティーネットとして地域全体を守るための取組みがさらに進展している。同院には研修医が多く集まる点も特徴的だ。「当院では研修医に必ずER救急を経験してもらっています。ただ任せるのではなく、きちんとフィードバックし上位の医師が指導する教育システムを確立している点、またコメディカルと垣根のない協力態勢ができている点、それらが若い医師たちに受け入れられているようです」。野原院長が着任された当初は研修医を募集するレジナビに自ら参加していたが、今は口コミが広がり全国から研修医が集う。こうした若い力が、病院全体の活性化にもつながっているようだ。さし当たっての懸念としては、3号館の老朽化が挙げられる。リハビリ室や厨房、医局を含めた新棟の建設が既に決定しているそう。赤字経営の病院が多いなか建設計画が実現したのは、黒字収支で内部資金を確保しながら地域医療を守り続けている野原院長の手腕があるからこそだ。

野原院長が「病院を活性化する重要な要素」と称える期待の研修医たち

地域支援病院として地域内のネットワークと理解を強化するため、訪問看護、介護、ソーシャルワーカーなどを招いて多職種の勉強会を開催している

信頼を得るために

「強く、優しく、頼れる」を さらに徹底した医療を提供

 様々な取組みを速やかに決定・実行するため、野原院長は重要な部署を院長直属に組織再編した。問題点があれば直接院長に伝わり、対策法がすぐ現場に浸透する。この迅速果断をもって病院を運営してきた。「今後はさらに各セクションが『強く、優しく、頼れる』のモットーに適った強いチームとなるよう改善を進めます。そのために最もスタッフに伝えたいことは〝あいさつ〟です。当院の敷地内に入ればみんな家族と思い、笑顔で〝あいさつ〟を交わす。それこそが『ここで診てもらいたい』と思っていただくための医療の初歩です」と話し、ハード・ソフト両面から信頼を得られる病院づくりに努めている。

hospital data

枚方公済病院
TEL:072-858-8233
枚方市藤阪東町1-2-1