【対談】医療法人 長尾会 ねや川サナトリウム

【対談】医療法人 長尾会 ねや川サナトリウム

精神科と内科が連携

精神科病院の取組み

高齢化社会に伴い、精神科病院の役割は統合失調症やうつ病だけでなく、認知症のケアまで広がっている。昭和40年の創立より地域の患者さんを、治療から社会復帰まで支援してきた同院の今についてうかがった。

認知症を含む精神疾患の患者さんが 健康に地域で暮らす社会を目指して

精神科医療の現状
植 田:
創立55周年を迎える当院は、時代とともに変化する精神疾患の治療や患者に対応してきました。今や長期入院で精神疾患を治す時代ではありません。当院でも導入した修正型電気けいれん療法(m–ECT)など治療法は進化しています。
松 本:
難治性統合失調症に効果的なクロザピン薬剤も、当院はいち早く導入しています。
植 田:
松本先生は向精神薬についての書籍を出版されていますね。先生の尽力で、当院の薬の処方や薬物治療の精度は、全国的に見ても高いレベルにあると感じています。
松 本:
今の精神科の大きな課題は、認知症患者の増加でしょう。当院の救急病棟にも、認知症を悪化させた独居高齢者や、入居施設で問題行動を起こした方の入院が増えています。

植田隆司副院長/大阪大学医学部卒。平成8年より同院に勤務。産業医・スポーツ認定医

松本均彦副院長/大阪大学医学部卒。平成17年より同院に勤務。著書に『精神疾患の病態と向精神薬(2018年薬事日報社)』

認知症患者への取組み
植 田:
認知症患者の問題のひとつが、服薬管理ができないことです。なので当院では、元々処方されていた様々な薬を含めて服薬管理を行います。また循環器をはじめ必要な検査・治療を行うことで認知症はもちろん、体も健康になって退院いただくということを大切にしています。
松 本:
植田先生を筆頭とする内科医と、我々精神科医が連携して治療に当たっているのが当院の強みですね。ご家族や介護施設でのケアも大事ですが、それだけでは限界があります。認知症の問題行動に悩む前に、なるべく早くに我々のような精神科病院に相談してほしいと思います。
植 田:
当院は、認知症患者とご家族を支援する寝屋川市の認知症初期集中支援チーム《愛称・寝屋川市オレンジチーム》事業を市から委託されています。認知症の早期発見・早期支援を目的とし、認知症が疑わしい段階から相談できます。近隣の地域包括支援センターまでお問い合わせください。

1.5テスラのMRI装置を導入し、短時間かつ造影剤なしの検査を実施。安全・正確な検査を目指している

外来に『寝屋川市オレンジチーム』の特設ルームを設置。認知症に関する地域住民の悩みに対応している

精神科と内科の連携
松 本:
最近の認知症の方は、糖尿病や循環器系の疾患を併せ持つことが多いので、精神科と内科の連携がますます大切です。
植 田:
当院では循環器内科医や血液内科医が勤務。精神から身体まで、垣根のない医療の提供を目指しています。
松 本:
重度の身体合併症を併発したようなケースでは、協力関係にある関西医大に搬送し、治療を受けていただきます。関西医大とは近年さらに関係を強めており、昨年4月より同医学部5回生の実習であるクリニカルクラークシップ制度も受け入れています。
植 田:
診断の段階でも精神科と内科が連携しているメリットがあります。それは、精神疾患と判断していた症状が、内科的疾患が原因の場合があるからです。例えば動悸や胸の痛みは、心や精神の不調から起こる場合もありますし、循環器疾患である不整脈や狭心症が原因のこともあります。
松 本:
安易に自己判断せず、当院のような精神科・内科併設の病院に相談されるとよいでしょう。
地域で暮らすをゴールに
植 田:
当院では、軽症から難治性まで幅広い精神疾患に対応しています。しかし治療だけが当院の取組みではありません。精神疾患を有する方が、地域で長く快適に暮らせるよう支援するのも役割です。
松 本:
治療の終わりには精神保健福祉士を交え、その後の生活を地域で支えられる体制を整えています。
植 田:
法人が運営するデイケアサービスやグループホーム、自立訓練施設の利用も可能です。施設を使用することで、再発防止に努めるとともに、地域社会での自立した暮らしや就労が目指せます。
松 本:
精神疾患を治すことがゴールではありません。患者さんが安心して地域社会で暮らせるようになることこそ、我々が目指すゴールです。

hospital data

医療法人 長尾会 ねや川サナトリウム
TEL:072-822-3561
寝屋川市寝屋川公園2370-6