【対談】社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会野江病院

【対談】社会福祉法人 恩賜財団  大阪府済生会野江病院

あらゆる傷の窓口として機能

創傷治癒センター

地域医療支援病院として地域医療に貢献する済生会野江病院。2012年に立ち上がった、傷の総合窓口として機能する「創傷治癒センター」について、体制から治療内容、実績についてうかがった。

各診療科が連携するチーム医療で 足潰瘍患者の生命予後改善を目指す

創傷治癒センターの現在
南 方:
2012年9月に設立した創傷治癒センターは、外傷性、褥瘡、血管性(動脈性、静脈性)、神経障害性(糖尿病)など創傷全般の総合窓口として機能しています。
廣 田:
特に糖尿病などによる動脈硬化疾患から起こる足潰瘍の患者さんを中心に治療しております。各診療科が連携しているのが当センターの強みですね。
南 方:
「形成外科」、「糖尿病・内分泌内科」、「循環器内科」、「リハビリテーション科」のほか義肢装具士による「フットウェア外来」、看護師による「創傷ケア外来」など各科が連携しています。
廣 田:
当センターでは、まず受診後に精密検査した上で原因別に分類し、創傷治癒のための局所的治療だけでなく、その背景にある全身疾患の治療を各診療科で行なっております。

副センター長を務める循環器内科の廣田先生。冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)に対するカテーテル治療において、豊富な経験を持つ

センター長を務める形成外科部長の南方先生。外傷をはじめ下肢静脈瘤、足潰瘍、褥瘡など幅広い形成外科領域の診療に数多く携わる

チーム医療による強み
南 方:
高齢化や生活習慣病患者の急増に伴い、動脈硬化や糖尿病による足壊疽の患者さんが増えています。重症下肢虚血患者の場合、1年以内に死亡する確率は25%と悪性疾患に匹敵するリスクがあります。
廣 田:
死因の40~60%が狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患が原因です。循環器内科では元々、冠動脈疾患に対するカテーテル治療の豊富な実績がありました。足潰瘍患者さんの治療でも、まずは詰まった血管を流す必要があるため、低侵襲なカテーテル治療を実施。歩行機能を維持するために大切断術を避けるよう努めています。
南 方:
カテーテル治療を得意とする廣田先生の存在はとても有難いですね。循環器内科と形成外科が常に連携していることが、まさに当センターの強みだと思っています。チーム内でのカンファレンスも定期的に実施しているため、診断から治療、そしてケアまで質の高い医療をスムーズに提供することができます。

創傷治癒センターの体制図。各診療科が連携することで局所的治療から、その背景にある全身の疾患まで広く治療する

血流が滞った下肢動脈の血流を再開させるカテーテル治療により、患者さんの一日も早い社会復帰を目指す

初診から治療後のケアまで
南 方:
現在は形成外科医4名、循環器内科医3名、キズを専門とする看護師2名、オーダーメイドの装具を作成する義肢装具士1名によるチーム医療で、初診から治療後のケアまでフォローしています。
廣 田:
初診では傷の状態を確認するほか、動脈硬化の程度や早期血管障害を検出するABI、皮膚レベルの微小循環を測定するSPP、動脈エコーやMRIなど高い検査レベルで正確な診断に努めています。
南 方:
診断後は適宜治療へと移り、循環器内科ではカテーテル治療、血糖コントロールなど内科的治療を、形成外科では創処置や手術を迅速に行います。
廣 田:
治療後の徹底したフォローも当センターの特徴でしょう。リハビリテーション科とフットウェア外来により再発防止・機能維持に努めるほか、併診で行う創傷ケア外来では専任の看護師が傷の洗浄・処置から、生活指導のアセスメント・指導まで親切な対応を心がけています。
単なる傷も早期受診がカギ
南 方:
創傷治癒センターにおける2018年度の血管内治療実績は105件。創傷ケア外来、フットウェア外来には合わせて延べ500名以上の患者さんに足を運んでいただきました。このように実績が周知されてきた今、徐々に当センターの認知度も上がってきており、「キズがあればまずは創傷治癒センターへ」という流れが地域の中で生まれ始めているようです。
廣 田:
おかげさまで最近は遠方からも患者さんがいらっしゃいます。しかし、中には若い方でも糖尿病や喫煙がきっかけで神経障害や血管障害となり、足の壊疽を引き起こしてしまっているケースも少なくありません。単なる足の傷だと思っていても、命に直結するケースがありますので、皆さま早期に受診されることをお勧めします。

hospital data

社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会野江病院
TEL:06-6932-0401
大阪市城東区古市1-3-25