社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会野江病院

がん診療

大阪府では、府民が質の高いがんの治療を受けられるよう、要件を満たした医療機関について「大阪府がん診療拠点病院」として指定し公表している。野江病院はその一つで、様々ながん診療に対応している。

野江病院のがん診療の特色

副院長としてがん診療に広く携わっている太田先生に、野江病院のがん診療の特色をうかがった。「城東区は高齢者数が大阪市のなかでも高い水準にあり、ご年配の患者さんが非常に多いです。通常だとがん検査は外来で行うことが多いですが、通うのが辛いという声も多く、当院では入院でも検査ができるように配慮し、検査から治療までも短期間で行えるよう努めています」。

対応するがん治療について

同院は大阪府がん診療拠点病院として、手術療法、抗がん剤治療を主とする化学療法、放射線療法に対応している。手術においては患者さんへの身体的な負担が少ない低侵襲な治療に注力しており、ロボット支援手術や内視鏡を用いた手術を積極的に行っている。特に消化器外科ではその件数が多く、日本内視鏡外科学会技術認定医でもある太田先生に詳細をうかがった。「当院では、お腹を切らずに腹部に小さな穴を3~5箇所程度あけて、内視鏡を活用する手術を約20年前から導入しており、患者さんが早期に回復できるように努めています。当院の消化器外科の指導医は全員が
日本内視鏡外科学会の技術認定医であり、手術経験も豊富です。また、令和6年1月からは手術支援ロボット『ダヴィンチ』を導入し、より精密かつ安全に手術を行えるようになりました」。また、同院は機能温存治療にも力を入れており、胃がんにおける胃全摘後の代用胃による再建手術にも対応している。「近年では胃をできるだけ残すケースが増えていますが、どうしても全摘出をしなければならないこともあります。その場合、食生活の質の低下は避けられませんが、空腸パウチ再建術を行うことで生活の改善が見込めます。この手術は令和5年に保険収載されましたので、以前より治療を受けていただきやすくなったと思います」。

緩和ケアへの積極的な対応

がん治療の進歩は目覚ましいが、手術ができず、抗がん剤治療も難しいケースが少なからず存在する。そこで重要となってくるのが緩和ケアだ。同院では緩和ケアチームを組織して、患者さんの苦痛を和らげるために力を注いでいる。「当院では、治療のための手術だけではなく、例えば食事ができなくなったり、お腹が張ったりして苦しんでいる患者さんに対して、緩和手術を積極的に行っています。病床数の問題があり、看取りまで対応することは難しいですが、できるだけ転院せずに済む環境を整えて、患者さんが苦痛を訴えた際には速やかに治療ができるよう配慮しています」。

同院で導入されている放射線治療器。放射線治療を受ける際は脱衣の上、放射線を当てる箇所に印をつけることが多いが、同院ではほぼ全例で着衣のまま治療が可能
小腸の一部である空腸を袋状に切り取り、代用胃として使用する「胃全摘後空腸パウチ再建術」の再建図。胃を全摘した場合にも、体重の維持や栄養状態の改善が見込める

hospital data

社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会野江病院
TEL:06-6932-0401
大阪市城東区古市1-3-25


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