社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会野江病院

テーマ

チーム連携で取組む持続的な乳がん診療

時間的、空間的に切れ目のない
乳がん診療の実現を目指して

診断精度を高めて乳がんの早期発見へ

 日本人女性の乳がん罹患率は年々増加しており、今や9人に1人が発症する時代に突入している。「当院では診断から治療、治療後のケアまで切れ目のないサポーティブケア体制の確立に取組んでいます。乳がんは40代半ばと60代後半に罹患率が高くなる病気です。しこり、痛み、乳汁分泌などを自覚されている方はもちろん、不安な方も一度相談にお越しください」と話すのは、乳腺外科で副部長を務める藤澤先生だ。まず先生が伝えたいのは、乳がんは女性が最もかかりやすいがんであること。そして、何よりも早期発見がカギを握るということ。同院では診断精度を向上するために、マンモグラフィ、乳腺超音波検査に加えて、トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)や造影超音波検査に対応。乳がん全体の5〜10%を占める遺伝性乳がんにおいては、専門的な医療機関と連携し、遺伝子検査、カウンセリングなどの診療にあたっている。今後も乳がん診療の体制強化に期待できる病院だ
1.乳がん治療では多職種の連携・協力が必要とされ、同院では院内外の連携も含めたチーム医療で乳がん患者を支える

多職種連携によるチーム医療

 乳がんの年間手術件数は2017年度64例、2018年度73例、2019年度66例。術式に関しては乳房切除術、乳房温存術、センチネルリンパ節生検という標準的な術式に対応している。「患者さん一人ひとり乳がんの性質も違えば進行度も変わるため、手術のみならず、放射線療法などの局所療法、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤)などを組み合わせた治療を行っています」と藤澤先生。もちろん乳がん患者へのサポートは治療だけにとどまらない。チーム医療の重要性が問われている昨今の医療業界。同院では多職種の連携を強化することで、患者さんを多方面から支えるサポーティブケアの充実を目指している。これらに加えて、形成外科専門医と連携した乳房再建術に対応する同院。日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会認定施設であり、適応がある場合はインプラント(人工乳房)による再建を保険診療で行うことができる。また、乳がんの手術後はかかりつけ医にスムーズにバトンタッチして診察してもらえるように、地域との連携にも積極的に力を入れている。「治療を支えるのは、医師、看護師、薬剤師、リハビリ療法士、臨床心理士など各分野のスペシャリストです。定期的なカンファレンスで知識の共有を図ることで、患者さん一人ひとりにチーム全体で向き合っています」。
2.藤澤先生は乳がんのスペシャリストとして、医療従事者の質の向上や地域住民への知識提供を目的に、定期的に講演会を実施している

目指すのは、
地域を含めたチーム医療

「乳がんは術後も5〜10年と経過観察をしなければなりません。当然、患者さんとの付き合いも長くなるので、治療だけでなく、術後のメンタルケア、ソーシャルケア、再発治療時の症状緩和などあらゆる面でサポートが必要になります。今後は院内における多職種連携だけでなく、町のクリニックやその他医療機関など院外との連携を進めていく必要があるでしょう」。また、院内でチーム医療を円滑に進めるために重要な役割を果たすのが乳がん看護認定看護師の存在だ。医療チーム内では各職種のつなぎ役としてサポートするほか、病院と患者さんやその家族の間で情報の行き違い、コミュニケーションの食い違いが生まれないために、様々な橋渡し役としてコーディネートする機能を担っている。藤澤先生が目指す医療のカタチは、地域コミュニティーも含めた広い意味でのチーム医療。時間的、空間的に切れ目のないサポーティブケアこそが、患者さんの安心に繋がると考える。今後も藤澤先生は新型コロナウィルス感染状況を鑑みながら、地域や医師会のセミナーを通して乳がん診療の発展、地域患者への検診などの啓蒙に努めていく。今後、乳がん診療の地域チーム医療体制のパイオニアとして野江病院が必要不可欠な存在となるだろう。

専門医療にできること

担当医

藤澤 憲良 先生

岡山大学医学部卒/乳腺外科 副部長、日本外科学会(専門医)、日本乳癌学会(乳腺専門医)、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、検診マンモグラフィ読影医師。乳がんにおける専門医として、院内のチーム医療をリードするほか、地域・医師会のセミナーを通してフォローアップ体制を構築。地域コミュニティーを含めた、包括的なチーム医療の充実を図る

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TEL:06-6932-0401
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