関西医科大学香里病院
アレルギーセンター
花粉症や好酸球性副鼻腔炎などのアレルギー疾患は通常耳鼻咽喉科が担うが、症状によっては他科との連携が必要なケースも多い。関西医科大学香里病院のアレルギーセンターでは複数の診療科が連携して診療を行っている。
複数の臓器に影響するアレルギーを多角的に治療
センターの診療方針
国民の2人に1人はアレルギー疾患があるといわれ、アレルギー治療のニーズは高い。同院では2023年4月に開設したアレルギーセンターで患者さんを広く受け入れている。「例えばアレルギー性鼻炎の方が気管支喘息やアトピーを併発しているケースがあるのですが、そうした場合、鼻以外にも症状が現れるため、当センターでは耳鼻咽喉科だけでなく、呼吸器内科や皮膚科などが協力して診療にあたります」と、濱田センター長は語った。
アレルギーセンターの外来の診察室。ファイバーやレーザーなどの機器が揃い、幅広い診断や治療を行える
花粉症の様々な治療
アレルギー疾患の種類は多岐にわたるが、同センターでは特にスギ花粉症の治療に力を入れている。濱田センター長に詳細をうかがった。「現在スギ花粉症の有病率は4割程度と言われていて、医療費が増加していることや、症状の発現により仕事の生産性が低下することから、政府も治療の充実に向けて取組んでいます。花粉症は花粉と似た成分を持つ果物や野菜に対してもアレルギー症状が出る『花粉-食物アレルギー症候群』を引き起こす可能性もあり、早い段階でしっかりと治療をすることが望ましいです。スギ花粉症で推奨されている治療に、アレルギーの原因物質を少しずつ舌の下から取入れることで体質を改善させる舌下免疫療法というものがあり、3~5年の治療期間がかかるものの、8~9割の方が症状が軽くなるというデータが出ています。早期の症状改善を目指す場合には、レーザー治療や手術を選択することも可能です。特に手術に関しては当センターで重点を置いており、鼻の中の鼻中隔骨の弯曲や鼻粘膜腫脹が継続し、薬では改善が難しい場合などには、手術をお勧めしております。また、近年登場した抗体療法にも対応しています。薬価が高いですが条件を満たせば保険治療が可能で、これまで花粉症の治療をしてきても効果が不十分で強く症状が出る場合に、抗体療法を検討します」。
喘息や副鼻腔炎の治療
気管支喘息や、指定難病にもなっている好酸球性副鼻腔炎もアレルギー疾患であり、これらの治療にも同センターは注力している。「治療が難しい好酸球性副鼻腔炎ですが、近年研究が進んでいて、好酸球性副鼻腔炎を持っている方は気管支喘息を併発している方が多いということがわかってきました。副鼻腔炎と喘息を同時に治療していくことで、どちらの症状も改善されるケースがあり、当センターでは耳鼻咽喉科と呼吸器内科の医師が連携しながら治療を行います。これらの病気は我慢してしまう方も多いですが、適切な治療を行えば生活の質が向上しますので、症状があれば気軽に相談いただければと思います」。