社会医療法人 美杉会 佐藤病院
新館の建設で機能を拡充
アフターコロナに沿って
医療体制を調整
新型コロナの5類移行で、病院の体制は通常時へと戻ってきている。佐藤病院ではコロナ期間中に新館を建築したことで、コロナ以前よりも診療の幅は広がった。その現状について河合院長に詳細を取材した。
アフターコロナの診療体制
入院病床の通常化と
地域包括ケア病棟の新設
病院や介護施設、在宅サービスなどを複数展開し、北河内エリアの医療を支え続けている社会医療法人美杉会。佐藤病院はその中核病院として、主に急性期医療の分野で市民の健康を守ってきた。コロナ禍においては通常医療の提供と並行して感染者用の病床を設置し、地域のニーズに全力で応えた。新型コロナが5類感染症となった今、病院は以前の体制へと戻りつつある。河合院長は現状についてこう語った。「大阪府の要請もあり、病床の約1割を感染者用の病床としておりましたが、現在は通常の体制に戻しました。しかし、感染者がいなくなったわけではありませんので、感染者の方は個室に入っていただき院内感染が起こらないよう配慮しています。当院ではいわゆるコロナによる“受診控え”はあまり発生しておらず、コロナ以前の風景が戻ってきたのかなと感じています」。
佐藤病院では増加する医療ニーズに対応するべく、コロナ期間も新館(西館)の建設を進め工事が完了した。これにより2022年10月に地域包括ケア病棟57床が新設され、患者さんの受け入れの幅が広がった。「地域包括ケア病棟は、急性期の治療を終えてから自宅に戻るまでの橋渡しをする役割を担っています。急性期の治療が終わると通常はすぐに退院となりますが、日常生活に不安がある場合には、1カ月程度ゆっくり治療を受けていただけます。また、日常的に介護をなさっているご家族の方に休んでいただくためのレスパイト入院にもご利用いただけます。当法人が経営する八幡市の『みのやま病院』にも20床の地域包括ケア病棟を設置する予定でして、そちらへもスムーズに転院いただくことが可能です」。
西館に新設された人工透析室。41のベッドと2部屋の個室が用意されている
腹腔鏡手術の様子。がん診療拠点病院として、高度かつ低侵襲な手術を提供している
西館の会議室で開催されている市民健康セミナーの様子
中核病院としての機能
新たな医師の招聘とがん治療の充実
佐藤病院は急性期病院としての役割を果たすため、コロナ禍にあっても機能の強化を続けており、その一環として多くの医師を招聘した。「西館のオープンで地域包括ケア病棟が新設されたことに伴い、整形外科の医師をお招きしました。また、人工透析室も西館に新設し、それに伴ってシャント手術を専門とする医師も増員しました。そのほか、消化器内科や呼吸器外科、骨粗鬆症を専門とする医師を加え、より幅広い治療に対応できるようになりました」と、河合院長は語る。また、同院は大阪府がん診療拠点病院にも指定されており、その機能を充実させている。「肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、乳がんの5大がんや近年増加している前立腺がんの治療に力を入れており、手術・薬物療法・放射線治療に対応しています。特に放射線治療に関しては『高精度放射線治療センター』を設置しており、定位照射やIMRTといった治療が可能な装置を導入。常勤の医師が2名勤務しており、常に精度の高い治療を提供できるように配慮しています。また、コロナの時には中止しておりました『がんサロン』も再開し、がん患者さんの心のケアにも努めています」。
2022年4月に工事が完了した西館。美杉会グループの前川診療所から小児科・皮膚科・耳鼻咽喉科を移設して外来診療をはじめたほか、57床の地域包括ケア病棟を新設した
市民健康セミナーの再開
対面形式の講座を行い市民の知識を深める
コロナ禍で制限されたものの一つに、市民健康セミナーがある。現在はその制限は解除され、佐藤病院では新設された西館の会議室で定期的に開催されている。「コロナの期間中はWEB動画という形で、がんや糖尿病、骨粗鬆症などについての講座を公開し、それは現在も継続していますが、ようやく対面でのセミナーも行えるようになりました。対面であれば質問も簡単にしていただけますし、どれくらいお話が伝わったかも反応で感じることができるので、今後はもっと開催頻度を増やしていければと思います」と、河合院長は期待を込めて笑顔を見せた。