八尾市立病院

五感に影響する疾患に対し 手術を中心に幅広く対応 患者のQOL低下を防ぐ

中河内と南河内のエリアでは耳鼻咽喉科に対応できる病院が少ないことから、基幹病院としての対応が期待される八尾市立病院。川島部長を中心に幅広い治療に対応する診療科の現状と想いをうかがった。

耳鼻咽喉科の対応範囲

耳・鼻・頭頸部に対して手術など幅広く対応

耳鼻咽喉科の一般手術から頭頸部の良性腫瘍などの手術を幅広く対応している八尾市立病院。耳の手術が専門の川島先生を中心に、耳鼻咽喉科に対応できる病院が少ない中河内と南河内のエリアで精力的に診療を行っている。「私の専門である耳の分野では、中耳炎などに対して行う鼓室形成術など専門性の高い手術を行っているほか、感音難聴の場合は点滴や内服で治療するなど、幅広く対応しています」と話す川島先生。診療科全体で対応する鼻の疾患に対しては、副鼻腔炎で行う内視鏡下鼻副鼻腔手術を数多く対応。ナビゲーションシステムを用いて安全で正確な手術を心がけている。「頭頸部の悪性腫瘍に関しては診断までの対応となりますが、近頃多くなっている甲状腺を含む良性の手術は当院の特徴の一つです。甲状腺の腫瘍は、ほかの検査によって偶発的に見つかることが多く、症状が出にくい臓器ではありますが、放っておくと声がかすれるなどの原因にもなりますので、早めの治療をお薦めします」。耳鼻咽喉科領域の手術に幅広く対応している同院では、扁桃腺の病気に対する手術も特徴の一つだ。「扁桃腺が大きくなることで空気の通り道が狭くなって、いびきの原因になったり、呼吸がしづらくなるなどの症状がでます。特にお子さんは、落ち着きがなかったり、食が細くなったりなど成長が遅くなる原因にもなりますので、その場合は扁桃腺を摘出する手術を行うことで改善が見込めます。また、成人の場合にも定期的に扁桃腺が腫れる習慣性扁桃炎に対して、同様の対応を行っています」。そのほかにも、急性感染症や突発性難聴、顔面神経麻痺などの治療にも、スタッフが一丸となって対応している。

サブ画像1
耳を専門とする川島先生は、中耳炎の手術を中心に幅広く対応している
サブ画像2
八尾市立病院では、エコー検査だけの利用も可能なので、疾患の早期発見に期待
サブ画像3
めまいの精密検査ができるvHITを導入

基幹病院としての地域連携

コロナ禍の影響を受けた病診連携の輪を推進

直接喉を診察することへの懸念からコロナ禍での受診を控える方が多く、診療科の中で一番影響を受けたともいわれる耳鼻咽喉科。八尾市立病院でもコロナ禍では患者数が減少したというが、今では以前の状態に戻りつつある。「コロナ禍では受診を控える患者さんが多かったことから、来られた時には症状が悪化しているケースも多々ありました。現在は日常に戻っていますが、これから力を入れないといけないのが、コロナ禍で滞っていた地域の開業医との連携強化です」。以前までは年1回開催されていた病診連携の会もコロナ禍で実施されず、今年になって数年ぶりに復活するなど、止まっていた地域連携の輪が徐々に動きだしている。「当院の場合は、初診は紹介状が必要となりますので、地域の開業医との密な連携は不可欠です。久しぶりに顔を見ながらの連携が行えましたので、こちらの強みなど説明していけたらと考えています。エコーがない医院に対しては、エコー検査だけの対応も行っていますので、お気軽にお声がけください」。地域住民に対しての市民講座も、コロナ禍以前の回数を行えるようになってきたことで、耳鼻咽喉科に対する啓発活動にも力を入れていく。

サブ画像4
診療を受けられる患者さんが安心して治療・検査を受けていただけるよう、安全で親切な対応を優しい気持ちと笑顔で日々頑張っています

地域へのメッセージ

五感に関わる疾患なので早期治療が不可欠

「耳鼻咽喉科では、がん以外の疾患は命に関わることは少ない反面、聴覚や嗅覚、味覚など五感に影響することで、QOLが著しく低下してしまいます。食事も美味しくないし、聞こえないことで認知症につながったりなども懸念されます。手術はもちろん内科的治療も対応していますが、例えば耳の難聴を点滴で治療する場合は、時間が経ってしまうと治らない場合もあります。悪くなったらすぐに受診することをお願いできたらと思います」。専門である耳を中心に、中河内と南河内の耳鼻咽喉科を牽引する川島先生は、住民にとって頼りになる存在だ。

八尾市立病院

電話番号:072-922-0881(代表)

住所:八尾市龍華町1-3-1

ウェブサイト:https://www.hospital.yao.osaka.jp/

関連記事一覧