医療法人治心会 なかむらクリニック
担当医 中村 治夫 先生
香川県出身/大阪市立大学医学部卒/日本内科学会認定内科医・内科指導医、日本循環器学会認定循環器専門医/勤務医時代の経験を生かし、リハビリテーションを通して地域住民の健康を守ること、生活の質向上を目標に掲げて2020年に開業
[テーマ] 高い継続率を誇る心臓リハビリ
地域とつながり健康づくりを推進する
約200名が訪れたふれあいまつりの開催
中村先生は心筋梗塞や狭心症に対するカテーテル治療など、急性期医療に尽力する勤務医時代を経て、4年前になかむらクリニックを開院した。「心血管の病気において病気を発症してからの治療はもちろん大切ですが、病気になる前の予防や病気になった後の人生をいかに元気に過ごすかということの重要性をより強く感じるようになりました」。なかむらクリニックでは病気の再発を防ぐ心臓リハビリといった三次予防に加えて、早期発見・早期治療を促す二次予防、健康教育や生活習慣の改善といった一次予防にも力を入れている。一次予防の取組みの一つとして、2023年11月には地域住民を招いた「ふれあいまつり」を開催。骨密度や動脈硬化を無料で検査できる体験ブースなどを用意し、子供から大人まで約200名の人たちが訪れた。「コロナ禍で実現できていなかった地域健康イベントを、やっとの思いで開催することができました。まずは自分の体について知ってもらい、健康に対するモチベーションを高めるきっかけになればと考えています」。
楽しさと実感を重視
継続的なリハビリを実現
同クリニックの2階には、心臓リハビリ専用室を用意。明るく楽しげな内装が印象的で、専門スタッフがやさしい笑顔で迎え入れてくれる。「心臓リハビリを継続してもらうためには“楽しさ”と“実感”が重要になってきます。ただリハビリをするための空間にするのではなく、スタッフや同じ境遇の利用者さんとの会話を楽しみ、笑顔で帰っていただけるような雰囲気づくりを心がけています」。そんな同クリニックのリハビリ継続率は70%超で、非常に高い水準になっている。心臓リハビリは週に1~3回程度、理学療法士のサポートを受けながら実施。ウォーキングマシンや自転車エルゴメータなどの有酸素運動、自重トレーニング、ゴムバンドを使った筋力トレーニングなど、健康運動指導士を中心に一人ひとりに合わせた運動プログラムを提案している。「『今日は何するのかな?』とワクワク感を持ちながら通院いただけるよう、定期的に新しい道具を取入れるなど、様々な工夫を施しています」。心臓リハビリにおいては、運動量や心拍数をデータで確認できるので、具体的な数値目標を設定し日々効果を実感しながらリハビリを進めることができる。
QOLの向上を目指して
地域の健康を包括的に支援
住み慣れた場所で心臓リハビリを受けられる環境を整えるため、八尾・柏原エリアにある5つの病院によって「心臓リハビリネットワーク」が結成された。同クリニックをはじめ、八尾徳洲会総合病院、八尾はぁとふる病院、志紀なかむらクリニック、白岩内科医院が参加し、患者の病状や治療歴の共有に役立つ心臓リハビリ手帳を作成したり、病院間の送迎バスを運行するなど、地域のネットワークづくりにも尽力している。また同クリニックは地域の内科としての機能も担い、発熱、インフルエンザの診療のほか、生活習慣病の予防にも注力。「生活習慣病やメタボリックシンドローム、喫煙習慣などにより心臓の血管の動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞といった心疾患の発症リスクが高まるといわれています。現在2階のリハビリ室は、病気の再発を防ぐ三次予防の場として活用いただいていますが、健康増進のための有酸素運動や健康教室など、一次予防を重視した取組みも進めてまいります」。実際に八尾市の保健所と連携し、地域住民を招いた体操教室を計画中だという。これからも多角的なアプローチで、地域住民の健康をサポートしていく。
専門医療にできること!
CPXの結果を基に適切な運動量を提案
運動中の心臓・肺・骨格筋の機能などを測定できるCPX(心肺運動負荷試験)を導入。客観的なデータを基に患者の体力(運動耐容能)を判断でき、適切な運動プログラムの提案へとつなげている
専門スタッフが付き添い安全なリハビリを支援
リハビリには理学療法士が付き添い、心電図や心拍数をモニタリングしながら行う。最大負荷量や走行距離、消費カロリーなど、トレーニングの結果はシートで確認することができる